震災復興・財産管理制度Q&A2

問4
 不在者財産管理人の選任はどこに申し立てればよいのですか。
 不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所です。不在者の財産所在地を管轄する家庭裁判所でも申立てを受け付けることができる場合がありますので,当該家庭裁判所に御相談ください。

問5
 申立ての際にはどのような書類や資料が必要ですか。
 申立書のほか,一般的には以下の書類・資料が必要になります。
[1] 不在者の戸籍謄本・戸籍附票の写し
[2] 財産管理人候補者の住民票の写し又は戸籍附票の写し(財産管理人候補者がいない場合は,家庭裁判所に御相談ください。)
[3] 不在の事実を証する資料
 例えば,不在者宛て返送郵便物,捜索願受理証明書,不在者の親族による陳述書(聴取書)などが考えられます。
[4] 不在者の財産に関する資料
 例えば,不在者が所有する不動産の登記事項証明書や土地評価調書の写し,預貯金等の残高がわかる書類などです。詳細な財産の調査は不在者財産管理人が行いますので,入手できる範囲の資料を提出いただければ十分です。
[5] 申立人の利害関係を証する資料
 例えば,申立人が親族の場合には,親族関係にあることがわかる戸籍謄本などが考えられます。
 なお,不在が東日本大震災を原因とする場合には,[3]に代えて,行方不明者届出書,未発見者証明書などが考えられます。また,自治体が震災復興事業のための用地取得のために申立てをする場合には,[5]に代えて,申立書に用地取得が必要な事情等を記載することで足ります。

問6
 申立人(自治体)は,申立てまでにどのような準備をする必要がありますか。
 不在となった原因が東日本大震災による場合には,それを裏付ける資料の準備が必要です。それ以外の場合には,不在者の親族(配偶者,子,兄弟,親等)から不在者の所在に関する事情を聞き取る必要がありますが,必ずしも現地に赴いて直接事情を聴取することまでは要せず,電話や手紙による方法で差し支えありません。事情を聴取した結果は書面で提出してください。また,弁護士・司法書士等の不在者財産管理人候補者を推薦していただけると,後の審理を円滑に進めることが可能です。

問7
 弁護士・司法書士等の候補者を探すにはどうすればよいですか。裁判所で紹介してもらえますか。
 地域の弁護士会司法書士会に御相談ください。連絡先は次のとおりです。
○ 福島県弁護士会(電話:024-534-2334)
○ 福島県司法書士会(電話:024-534-7502)

問8
 申立てのための費用はどれくらいかかりますか。
 申立手数料として収入印紙800円分と,郵券2400円分(内訳500円×2枚,80円×15枚,20円×5枚,10円×10枚(東日本大震災による所在不明の場合は1500円分(内訳500円×2枚,80円×5枚,10円×10枚))が必要です。このほか,不在者の財産がほとんどなく,不在者財産管理人の報酬を含む管理費用の財源が見込めない場合には,一定の予納金をお願いすることがあります。予納金額は事案によることになりますので,詳しくは家庭裁判所に御相談ください。

問9
 不在者財産管理人になるには,どのような資格が必要ですか。自治体自身や自治体職員が管理人になることはできますか。
 資格は必要ありませんが,財産管理人は,不在者の財産を管理するために選ばれるものですので,職務を適切に行えることが必要です。通常,不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して,適格性が判断されます。福島家裁では,復興事業における用地取得を目的とする不在者財産管理人事件については,財産の調査や相続関係の処理に専門的知見を要することや,対象土地の売却について中立性が要求されることなどから,原則として弁護士又は司法書士を選任することとしています。
 自治体や自治体の職員を管理人に選任することについては,売却の公正性について所在の判明した所有者や一般国民から疑念を抱かれないようにする必要があることから,消極に考えています。

引用者注:
 震災とは無関係の地域ですが、実質的に地元の共有物件ではないかと考えられる土地について、区長(町内会長)が不在者財産管理人に選任された事例はあります。

(つづく)