予防通所サービスは効果がないか

要支援者の通所サービス(介護予防通所介護、介護予防通所リハビリ)には、事業所評価加算があります。

1)選択的サービス(運動器機能向上、栄養改善、口腔機能向上)を実施している事業所で、
2)選択的サービスの利用実人員が事業所全体の6割以上
3)選択的サービスを三月以上利用し、要支援更新(又は区分変更)認定を受けた人数で、
 A)うち要支援度が変わらなかった人数
 B)うち要支援度が改善された人数×2
 の合計を割った数字が0.7以上

という条件を満たす事業所です。

2と3は、加算を算定する年度の前年(暦年)の実績値です。
なので、平成24年1月~12月に維持改善効果が高かったとされる事業所を、25年4月~26年3月に利用する人が加算を負担する、という、ちょっと変な制度ではあります。

また、介護保険サービスは、こちらの記事で書いたように、「軽度にならなければ効果なし」ではありません。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32357804.html

ですが、軽度者への通所サービスの効果に疑問を投げかける声もあるので
(国や、国の方針に迎合する「有識者」からの声のような感もありますが)、
この加算の統計データを見てみます。

介護給付費実態調査月報(平成25年6月審査分)より
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001112752

第10表 介護予防サービス単位数・回数・日数・件数,要支援状態区分・サービス種類内容別
イメージ 1



介護予防通所介護の事業所評価加算は、872万5千単位。
件数(人員)にして7万余です。
 
介護予防通所リハビリのそれは、506万9千単位。4万件(人)余です。

期間中の受給者は、介護予防通所介護と介護予防通所リハビリとを足して55、6万人というところですから、少ないように見えるかもしれません。
ですが、事業所評価加算の対象となる選択的サービスを実施していない事業所もあります。
この表では、選択的サービスを実施している事業所の実数はわかりませんが、
算定されているのは、ほとんどが運動器機能向上加算であることはわかります。

介護予防通所介護では、運動器機能向上加算24万人余に対し、事業所評価加算7万余。
介護予防通所リハビリでは、同じく11万足らずに対して、4万余。

これは、そんなに意味がない数字ではないと思います。

ちなみに、厚労省から都道府県に送られてくる数値を見ると、わずかのところで条件を満たさない事業所も、けっこうあるんですよね。前述の3の数値が0.6台の後半とか。

維持改善効果のうち、数値化が容易なデータだけでも、こういう状況です。

予防に限らず、通所サービス事業所の増加については、問題なしとは思いません。
事業所指定を担当していた頃、私は、特に通所介護の開業相談については、需給バランス、採算性等について、厳しめの指導をしていました。

ですが、それは、たとえば通所サービスの指定条件に市町村介護保険事業計画の勘案を織り込むなど、対処法はいろいろ考えられます。

少なくとも、介護予防通所サービスの効果については、世間で言われているよりはあるのではないか。
要支援者を従来の介護保険サービスから外そうとする理由にするには、根拠が弱いのではないか。
私はそう思います。