ケアマネ検討会中間整理4

[3] 介護支援専門員に係る研修制度の見直し

○ 介護支援専門員の専門性を高め、資質を向上させていく手段として、研修は重要な役割を持つと考えられる。

○ また、研修の実施方法について、より実践的な研修となるよう演習にも重点を置くとともに、研修内容が理解されているかどうかを確認するため、研修修了時の修了評価の実施についても検討すべきである。

○ 現在、実務研修の時間数は、求められる介護支援専門員の知識や技術に比し、不足しているとの意見もあることから、実務研修の充実や、実務に就いた後の早い段階での研修である実務従事者基礎研修の必修化について検討すべきである。

○ また、現在の更新研修は、専門研修IとIIに分かれており、介護支援専門員証の有効期間の5年のうちに計画的に受講することが難しいとの指摘もされていることから、有効期間内に無理なく研修を受講し、必要な知識や技術を身につけていくことが可能となるよう見直しを検討すべきである。

○ 研修体系の見直しと同時に見直さなければならないのが研修カリキュラムである。現行の研修カリキュラムでは、介護支援専門員専門研修において「認知症」、「リハビリテーション」、「看護」、「福祉用具」等の課目についても規定されているが、選択制となっており、必ずしも受講すべき課目とはなっていない。
  これらの知識は、今後、増加が見込まれる認知症高齢者の支援や利用者の自立支援に資するケアマネジメントの推進等にあたり、介護支援専門員が身につけておくべき重要な知識である。
  また、重度者や医療の必要性が高い利用者が増える中で、医療関係職種と連携しつつ、医療サービスを適切に提供していく必要性はさらに高くなるが、医療との連携が必ずしも十分でないといった課題が指摘されている。
  したがって、研修カリキュラムを見直す際には、「認知症」、「リハビリテーション」、「看護」、「福祉用具」等の課目について、必修化も含めて研修内容の充実を図るべきである。
  その他、ケアマネジメントに求められる内容の変化に応じ、研修内容を充実していくことが適当である。

○ 都道府県が行っている各種研修については、研修水準の平準化を図るべきとの課題に対応し、国として研修実施の指導者用のガイドライン作りを推進するべきである。

○ また、介護支援専門員が従事する事業の類型に即した研修カリキュラムといった視点からの検討も行うことが適当である。さらに、研修受講者の利便性も考慮し、都道府県単位で実施する研修に加え、例えば主任介護支援専門員研修などについては、都道府県の圏域を超えた研修の実施も検討し、当該研修についても都道府県研修の対象としていくことを検討することが適当である。

○ 介護支援専門員の資質向上を図る上では、利用者の生活状況を総合的に把握し、ニーズに応じた様々なサービスを一体的に提供するコーディネート機能を果たすという特質にかんがみ、講義や演習による研修に加え、実務に就いて間もない介護支援専門員について、現場での実務研修の仕組みの導入について検討すべきである。

○ 以上のように研修制度の見直し等に取り組むことと共に、介護支援専門員自ら日常的な学びに努め、その専門性を高めていくことが重要であり、保険者である市町村もその取組を支援していくことが求められる。

[4] 主任介護支援専門員についての見直し

○ 主任介護支援専門員には、介護支援専門員に対するスーパーバイズ、地域包括ケアシステムを実現するために必要な情報の収集・発信、事業所や職種間の調整といった役割が求められており、そのような役割を担うことができる者を養成することを目的として主任介護支援専門員研修が位置付けられている。
  主任介護支援専門員については、上記のスーパーバイズ等の役割を果たすことをより一層進めることが重要であり、その資質の向上を図っていくことが必要である。

○ このため、主任介護支援専門員となるための研修修了後に修了評価を導入することを検討すべきである。
  また、主任介護支援専門員についても更新制を導入し、更新時においては、研修を実施することを検討すべきである。

○ さらに、居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員に求められる役割にかんがみ、例えば地域の小規模な居宅介護支援事業所等で、ケアマネジメント業務に従事し、未だ実務に就いて間もない初任段階の介護支援専門員に対して、主任介護支援専門員が現場での実務研修により、指導・支援する仕組みの導入を検討すべきである。

○ また、介護支援専門員が日常的に学びの場を共有していくことはその資質向上にとっても重要であることを踏まえ、主任介護支援専門員は、地域の介護支援専門員のネットワークを構築するといったことに努めることが適当である。

[5] ケアマネジメントの質の評価に向けた取組

○ ケアマネジメントの質の向上を図っていく基盤として、ケアマネジメントの質を評価する客観的な指標を整えていくことが重要であり、ケアマネジメントプロセスの評価、アウトカムの指標について、より具体的な調査・研究を進めるとともに、その基盤となるデータ収集・集積を継続的に進める必要がある。

○ 国においては、平成24年度において、ケアプランの現状を把握し、その実態等を分析することによって、現状のケアマネジメントについての改善点等を明らかにするため、ケアマネジメント向上会議の取組を開始している。
  こうした取組の積み重ねやデータ収集・集積による分析を通じて、ケアマネジメントの向上に向けた事例収集や情報発信を継続していくことが重要である。