「簡素な給付措置」の問題点など

消費増税8%で1万円超を支給 「簡素な給付措置」藤井税調会長が見解
産経新聞 11月9日(金)7時55分配信)

 民主党藤井裕久税制調査会長は8日までに産経新聞のインタビューに応じ、消費税増税に伴う低所得者対策として税率を8%に上げた時点で一定以下の年収の人に現金を配る「簡素な給付措置」について、1人当たり1万円超とする考えを明らかにした。給付期間も複数年度とすることを検討し、自民党政権時代の消費税導入時などに比べ、低所得者の負担緩和策を充実させる考えを示した。

 消費税3%を導入した平成元年度と5%に上げた9年度に、臨時給付金として住民税の非課税世帯の高齢者らに原則1万円を単年度で1回限り配布した。

 これに対し、藤井氏は今回の引き上げでは「(臨時給付金より)少し多いくらいは考えないといけない」と述べた。(注1)

 消費税増税低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が問題視される。このため、26年4月に消費税率を5%から8%、27年10月に10%へ上げることを柱とする社会保障・税一体改革関連法は、8%時点で簡素な給付措置を実施するとしているが、金額や期間、対象者など具体策は積み残し課題となっていた。

 一方、簡素な給付措置以降の低所得者対策について、一体改革関連法は減税と現金支給を組み合わせる「給付付き税額控除」と、食料品など生活必需品の税率を低くする「軽減税率」を両論併記している。藤井氏は軽減税率について「(対象品目の)線引きが難しい」などと指摘、給付付き税額控除の導入を目指す意向を改めて示した。(注2)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121109-00000100-san-bus_all



記事中の(注)の挿入や、文字強調などは、引用者が行いました。


(注1)
仮に年間1万2千円を給付する場合、消費税率の上げ幅3%で割り戻すと、40万円となります。
つまり、年間40万円の購入に対する分だけ手当てするという計算になります。
それ以上の負担は低所得者でも辛抱してね、という意味なのか、
低所得者なら年間40万円でも生活できるでしょ、という意味なのか、私にはわかりません。

(注2)
低所得者を、仮に住民税非課税世帯とすると、それよりも少し上の世帯からは、まるまる負担が増えることになります。
複数税率は線引きが難しいとはいわれながら、欧州諸国などでは定着していますし、低所得者とそれ以外との線引きよりは、よほど簡単です。

ところで、消費税の導入は、所得だけでは担税力(税を負担する能力)を把握しきれないということも理由となっています。
ほぼガラス張りのサラリーマンも、裏金で稼いだ政治家(例示であって、政治家の全てがそうだという意味ではありません)も、消費に着目すれば、ある程度は公平な納税が可能であるという考え方です。
それなのに、所得の把握が不完全な現行制度のままで「簡素な給付措置」を行うのは、不公平の元です。

問題点があったとしても、8%段階から軽減税率を導入するのが、一番マシと言わざるを得ません。