(しつこく)消費税逆進性対策への疑問

消費税の低所得者対策については、コメントがなくてもしつこく続けていますが(笑)
もうしばらくご辛抱ください。

ちょっとおもしろい資料を見つけました。

「消費税逆進性対策 ― なぜ軽減税率ではなく給付付き税額控除なのか」
東京財団上席研究員 森信茂樹氏 更新日:12/05/24)
http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=963

「食料品などの軽減税率導入では逆進性は解消されず、低所得者への給付の方が効果が高い。」
そういう主張のグラフがあったので、ちょっと加工してみました。
なお、ヤフーブログでの見やすさ等を考慮し、横長を縦長に変えています。
 
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ツッコミどころとして、まず、前提条件。
「年間収入に占める租税負担割合」とありますが、「消費税負担割合」の誤りではないでしょうか。
「租税負担割合」なら、所得税など、高所得者の負担がもっと高くなるはずです。

次に、推計の方法です。
現行5%で、世帯収入200万円未満の負担割合が5%近くになっていますが、
低所得者層の支出には住居の家賃や地代、保険医療など非課税支出も結構あるので、
もう少し低い数値になると思われます。

なお、収入だけでは生活していけない階層では、貯金の取り崩しなどがあり、それを考慮している可能性もありますが、公平な税負担には、フロー(収入など)とストック(資産)の両面を考える必要があり、この図表だけで取り扱うのは無理があるかもしれません。

また、この図表の紫色の線では年間10万円給付する試算がなされていますが、こちらの記事で触れたように、民主党藤井裕久税制調査会長が言明しているのは「1人当たり1万円超」です。全く足りません。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/31514612.html

そして、この図表どおりであったとしても、収入に対して一番負担率が高いのは年間400万円を中心とした階層で、300万円から600万円付近までの世帯には、ずっしりと負担がのしかかることとなります。
たとえば、夫の平均月収が20万円、妻のパート収入が7万円として322万円です。
社会に出て、結婚、出産、子育てということを目指す若い人々が、これらの階層の下半分に入ってくるのではないでしょうか。

あと、所得を隠している人たちの問題もありますが・・・・・・

消費税の軽減税率、あるいは伝票方式(インボイス)に反対している人たちの全てが所得をごまかしている、とか、そういう人々や企業の片棒を担いでいる、というつもりはありません。
ただ、所得をごまかしている人々の中には、軽減税率やインボイスに反対している人々が当然いるはずで、そのことを指摘しても誹謗中傷にはあたらないと考えています。