原発事故時の菅首相の対応については、世間の見方が分かれています。
民間事故調などでは「東電の撤退を阻止した」として一定の評価がされました。
一方、国会事故調、政府事故調などでは「過剰介入で、むしろ現場の邪魔をした」という論調でしょうか。
本書を読むまでの私の立ち位置を書いておく方がフェアでしょう。
正直に言えば、「東電の撤退意図はなかったか」という記事で書いたように、国会事故調などでの見方には疑問があり、民間事故調の見方に立っています。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/30872466.html
もともと(少なくとも小泉内閣以降の)自公政権には批判的で、民主党を主にした政権への移行は起こるべくして起こった、と考えています。
ただし、民主党のマニュフェストを評価したからではなく、政権交代は自公の敵失によるもので、民主政権が長続きするだろう(あるいは「長続きすべき」)とは考えていませんでした。
菅氏については、厚生大臣として薬害エイズ問題に携わった件は評価していましたが、首相としては、前任者よりはマシなものの、震災対応としては(衆参ねじれ国会や野党の非協力、党内基盤の弱さなどを勘案したとしても)全く不十分、と考えていました。
今後の政権については、自公でも民主中心でもいいから(たいした違いはないから)、さっさと特例公債法案を成立させて、地方財政へのしわ寄せをやめてくれ、というところです。
・・・で。
本書を読んで、やはり、菅氏が怒鳴らなければ東電は全面撤退も考えていたのではないか、という心証が強くなりました。
ただ、官邸側からの証言を読んだだけですので、
東電サイドからの反論があれば、そして入手しやすい値段の本であれば(笑)
読んでみたいと思っています。
なんにせよ、こういう危機対応時の記録は、様々な角度から残すことが大切だと思いますので。
2012/10/21 21:36追記:
1)私は本書に書かれていることの全てに賛成しているわけではありません。
2)記事中の「東電」は、主に本社の経営陣を指しており、現場などで事故対応にあたられた方々を批判する意図はありません。