ライフ・ステージによる移動と社会的コスト

某所の記事(謎)を拝見して、介護保険スタート前後のことを思い出しました。

高齢者などの福祉に力を入れていたある町に、「定年退職後に移住したい」という問い合わせの電話が何件か架かってきたそうです。

その後、その町の人口が急増したという話は聞きませんが(笑)
高齢者福祉に携わる人たち(役場に限らず)にとってはうれしい、誇らしい話だったかもしれません。

資力や語学力がある人々だと、老後を海外で過ごすという選択もあるようです。
私は、どちらも自信がありませんが(苦笑)

さて、国内に限って話を進めるとして、
その高齢者が移動することで、地域が負担するコストはどうなるでしょうか。

たとえば、地方で生まれ育った人が、大都市圏で就職し、高齢になってから地方に移住したとします。

妊娠・出産、保育、学校教育という時期の費用は生まれ育った地方が負担します。
社会人として納税し、あるいは経済活動に貢献する時期には、その果実はほとんど大都市に入ります。
高齢になり、医療や介護など、必要な社会的支援が増える時期には、また地方の負担が重くなるといえます。

もちろん、介護保険などでは住所地特例がありますが、施設サービス利用前から移住している場合には適用されません。
また、介護、医療、生活保護など、制度によって責任主体が異なる場合もあります。

実際には、施設やサービス事業所の存在によって雇用が確保される効果があり、また、地方交付税など自治体間の財政均衡を図る仕組みはあるのですが・・・・・・

国と自治体、あるいは自治体と自治体との財源の配分について、見直しを行うべき時期なのかもしれません。

なお、児童、高齢者など、納税力に比べ社会的支援の必要性が高い人々を「お荷物」視する意図はありません。
あくまで、社会的コストの負担の適正化という視点です。