まだ「原発が安い」って言ってる人々

発電コスト:原発「最も安価な電源」 経産省の試算
毎日新聞 2015年04月27日 21時24分(最終更新 04月27日 23時22分)

 ◇2030年 過酷事故発生確率低下予想に疑問視する声も

 経済産業省は27日、2030年の原発や火力発電など電源ごとの発電コストの試算を有識者委員会に示した。原発の発電コストは、東京電力福島第1原発事故後の安全対策費の増加を反映し1キロワット時あたり「10.1円以上」と算定、11年の前回政府試算の「8.9円以上」から約1割上昇した。ただ、石炭や天然ガス火力も燃料調達価格の値上がりを見込んだ結果、前回試算よりコストが上昇。「原発の発電コストはほかの電源を下回る」として、経産省原発を「もっとも安価な電源」と結論づけた。ただ、前提となる事故の確率を疑問視する声もあり、議論を呼びそうだ。

 試算結果は30年の電源ごとの総発電量に占める割合を示す電源構成(エネルギーミックス)策定の参考にする。発電コストは、建設費や燃料費など発電に必要なコストと運転期間中の総発電量から算出した。

 福島原発事故廃炉や賠償の費用増加を反映し、原発では事故対応費を5.8兆円から9.1兆円に増額。一方、安全対策の強化で、原発の過酷事故発生の確率は、前回試算の「50基のうち1基が40年に1回」から「80年に1回」相当に低下すると想定、1基当たりの毎年の費用負担は減少する形になった。また、原発の安全対策費用は、原子力規制委員会の新規制基準への対応状況を踏まえ、前回試算の1基194億円から601億円に増額。その結果、原発の発電コストは1.2円上昇した。ただし、福島原発事故の対応費用が今後1兆円増加するごとに、発電コストは0.04円上昇するため、「10.1円以上」として上限は算定しなかった。有識者委からは「原発事故リスクは民間企業が負えるものではない。今回の試算では原発のコストが小さくみえる懸念がある」との批判も出た。

 一方、火力発電は、燃料相場の上昇や円安を想定した結果、石炭火力は10.3円から12.9円、天然ガス火力は10.9円から13.4円に上昇した。太陽光や風力など再生可能エネルギーは、12年に導入された固定価格買い取り制度の買い取り価格を反映した結果、最も安価なケースでも、住宅用太陽光が前回の9.9円から12.5円、陸上風力は8.8円から13.9円に上昇した。【中井正裕】
http://mainichi.jp/select/news/20150428k0000m020086000c.html


経産省サイトで試算の中身を探したのですが、見当たりませんでした。
やむを得ず、一番詳しそうな毎日の記事を全文引用させていただきました。
(特に赤色部分の表現がない全国紙もあったので。)


これまで、「原子力発電のコストが安い」という経産省や電力業界やゴヨーガクシャの主張に対しては、疑問がある(というよりは、嘘だと思う)という記事をアップしてきました。

それでまた、このような試算が恥ずかしげもなく出されてきたのですが、よく読むと、

>発電コストは、建設費や燃料費など発電に必要なコストと運転期間中の総発電量から算出した。

ということなので、

1)建設費は入っていても、建物や設備の解体費用は入っていない。
2)燃料費は入っていても、燃料の取り出しや冷却・保管等の費用は入っていない。
3)発電所所在自治体への政策的な交付金等は電力会社ではなく税金から出ているから入っていない。
4)原発とセットになっているというべき揚水発電のコストは当然入っていない。

ということが推測できます。
(1や2がバックエンドコストなどと呼ばれるものです。)



ところで、「ブログ樹形図工房の主な記事」を更新しました。(2015年3月まで)
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/tokushuu/kiji.html

自分で言うのも何ですが、この記事のように、過去の記事を検索したいときには便利です。