発達障害の原因は愛情不足ではない

大阪維新の会」の条例案が問題になっています。
同会サイトなどで詳しい情報を集めようとしたのですが、私の力不足のためか見つからなかったので、日刊スポーツサイトの報道を引用します。
(誤解が生じる可能性を減らすため、全文引用しています。問題あればコメントください。)

愛情不足で発達障害?橋下市長が火消し

 橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会大阪市議団が議会提出する方針の条例案発達障害をめぐる規定に当事者らが強く反発、橋下市長が3日から4日にかけ短文投稿サイト「ツイッター」で火消しに躍起となっている。

 条例案は「家庭教育支援条例案」。原案で「発達障害、虐待等の予防・防止」の章を設け「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」と明記。「虐待、非行、不登校、引きこもりに深く関与している」「わが国の伝統的子育てで予防、防止できる」などの文言も並んだ。

 自身も発達障害があるNPO法人発達障害をもつ大人の会」(大阪市)の広野ゆい代表(39)は「発達障害と虐待などが同列に扱われ、人権侵害だ。前向きに生きようとしているのに、私たちの存在を『防止』しようとする発想も許されない」と指摘。「この条例を読んだ親は自分を責めてしまう」と批判した。

 インターネットの掲示板でも「実情をどれだけ知っているのか」「デマだと信じたい」などと非難の声が渦巻いた。

 これを受け橋下市長はツイッターで「発達障がいの主因を親の愛情欠如と位置付け、愛情さえ注げば発達障がいを防ぐことができるというのは科学的ではない」などとするコメントを連発。「市議団の方針について(市長である)僕には決定権はありません」などと釈明に追われた。

 原案をまとめた市議団副団長の辻淳子市議は「誤解を与え申し訳ない」と陳謝。原案修正も含め検討していく意向だ。

 発達障害には、アスペルガー症候群学習障害注意欠陥多動性障害などが含まれ、主に先天的なものとされている。(共同)
[2012年5月4日20時33分]
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20120504-945339.html

************************

大阪維新の会」や橋下氏について、賛否両論があるのは承知していますが、
ここでは、彼らを批判するのではなく、誤解されがちな発達障害について、
「愛情不足が原因となって起きるのではない」ことを周知することを目的としています。


ちなみに、検索すると、埼玉県サイトに、こんなページもありました。


県議会 > 平成22年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (舟橋一浩議員)

発達障害を予防する取組の推進について

舟橋一浩議員(刷新の会)
 上田知事も、彩の国だより本年5月号の知事コラム「未来への投資」で、親が子どもに語りかける、目を見てあやすなど、温かい子育てをすれば、学習障害や多動、注意散漫、コミュニケーション障害などの行動を防いだり、改善することができるという研究結果も出てきていると指摘されています。

上田清司 知事
 一般に発達障害を予防する子育てとして、目を合わせて話しかけながらあやすことや添い寝をするなどの伝統的な子育てをすることで病状が改善され、子どものより良い成長を促すとも言われています。
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/gikai-gaiyou-h2206-f040.html

************************

こちらは自治体公式サイトですし、その割に内容も酷いので、一部引用でいいでしょう。
(同県関係者からの批判があれば受けて立つ用意はあります。)

知事発言の太字部分で検索すると、ある本の販売サイトがヒットしますが、その書物は酷評されています。
そんな本を出版する学者も学者ですが、そんな本を信用してよいものかどうか、政治家も資質を問われます。

親の愛情不足で発達障害になるのではありません。

(親の愛情不足で子どもに悪影響が出る場合はありますが、それは現在いわれている発達障害とは別の種類の問題です。)

<関連過去記事>
自閉症は「育て方のせい」ではない
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/23716616.html