地方の自主性なんとか通知3

雇児発1028第1号
平成23年10月28日
各 都道府県知事/指定都市市長/中核市市長/児童相談所設置市市長 殿
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長
 
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律
     の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令の施行について
 
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成23年厚生労働省令第127号。以下「改正省令」という。)が別添のとおり公布され、平成24年4月1日から施行されるところであるが、当局所管に係る改正省令の改正の趣旨及び概要は下記のとおりであるので、御了知の上、その運用に遺憾のないようにされたい。
 なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
 
 
1 改正の趣旨
 
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第37号。以下「整備法」という。)において、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第45条等の改正がなされ、都道府県、指定都市、中核市助産施設、母子生活支援施設又は保育所の場合に限る。)及び児童相談所設置市(以下「都道府県等」という。)児童福祉施設の設備及び運営について条例で基準を定めることとされ、また、都道府県等が当該条例を定めるに当たって従うべき基準(以下「従うべき基準」という。)及び参酌すべき基準(以下「参酌すべき基準」という。)については厚生労働省令で定めることとされた。
 これに伴い、都道府県等が条例を定める際の基準として、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)の規定を従うべき基準及び参酌すべき基準に区分する等、所要の改正を行うこととした。
 
(注)
 [1]「従うべき基準」とは、「条例の内容を直接的に拘束する、必ず適合しなければならない基準であり、当該基準に従う範囲内で地域の実情に応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないもの」である。(地方分権改革推進計画(平成21年12月15日閣議決定))よって、条例の内容は、法令の「従うべき基準」に従わなければならないものであり、本省令の「従うべき基準」を下回る内容を定めることは許容されないが、当該基準に従う範囲内で、地域の実情に応じ「従うべき基準」を上回る内容を定めることは許容されるものである。
 [2]「参酌すべき基準」とは、地方自治体が十分参酌した結果としてであれば、地域の実情に応じて、異なる内容を定めることが許容されるものである。(地方分権改革推進計画(平成21年12月15日閣議決定))
 
2 改正の概要
 
(1)児童福祉施設最低基準の省令の名称変更等
 児童福祉法第45条第1項により都道府県等が条例を定める際の同条第2項に規定する厚生労働省令で定める基準については、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(以下「設備運営基準」という。)と称することとし、児童福祉施設最低基準の省令の名称も「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に改正する。(設備運営基準題名及び第1条第1項)
 なお、児童福祉法第45条第1項により都道府県等が条例で定める基準については、最低基準と称することとする。(設備運営基準第2条)
 
(2)設備運営基準の区分(設備運営基準第1条第1項)
 児童福祉法第45条第2項に規定する設備運営基準は、従うべき基準及び参酌すべき基準に以下のとおり区分する。
 ・従うべき基準
  [1]児童福祉施設に配置する従業者及びその員数について、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基準として、設備運営基準第1条第1項第1号に定める規定による基準
  [2]児童福祉施設に係る居室及び病室の床面積その他児童福祉施設の設備に関する事項であって児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるものについて、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基準として、設備運営基準第1条第1項第2号に定める規定による基準
  [3]児童福祉施設の運営に関する事項であって、児童(助産施設にあっては、妊産婦)の適切な処遇の確保及び秘密の保持、妊産婦の安全の確保並びに児童の健全な発達に密接に関連するものとして厚生労働省令で定めるものについて、都道府県等が条例を定めるに当たって従うべき基準として、設備運営基準第1条第1項第3号に定める規定による基準
 ・参酌すべき基準
  設備運営基準第1条第1項第4号に定める規定による基準
 
(3)設備運営基準の目的及び向上(設備運営基準第1条第2項及び第3項)
 設備運営基準は、都道府県知事等の監督に属する児童福祉施設に入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員(児童福祉施設の長を含む。以下同じ。)の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。
 また、厚生労働大臣は、当該設備運営基準を常に向上させるよう努めるものとする。
 なお、当該設備運営基準は、都道府県知事等の監督に属する児童福祉施設をその対象とするものであるので、御留意いただきたい。
 
(4)最低基準の目的及び向上(設備運営基準第2条及び第3条)
 児童福祉法第45 条第1項の規定により都道府県等が条例で定める最低基準は、都道府県知事等の監督に属する児童福祉施設に入所している者が、明るくて、衛生的な環境において、素養があり、かつ、適切な訓練を受けた職員の指導により、心身ともに健やかにして、社会に適応するように育成されることを保障するものとする。
 また、都道府県等は、当該最低基準を常に向上させるよう努めるものとする。
 なお、当該最低基準は、都道府県知事等の監督に属する児童福祉施設をその対象とするものであるので、御留意いただきたい。
 
(5)大都市等の特例に関する読替規定(設備運営基準第14条の4)
 平成23年8月30日に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う総務省関係政令の整備及び経過措置に関する政令平成23年政令第272号)」により、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)が、平成23年9月14日に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備及び経過措置に関する政令平成23年政令第289号)」により、児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)がそれぞれ改正され、指定都市、中核市助産施設、母子生活支援施設又は保育所の場合に限る。)及び児童相談所設置市(以下「指定都市等」という。)に条例で最低基準を定める事務が移譲されている。
 これを受け、指定都市等の市長の監督に属する児童福祉施設については、これらの市が最低基準を定めることから、この省令の都道府県に関する規定のうち、これらの市に適用すべきものについて所要の読替えを行う。
 なお、国立施設及び都道府県立施設については、指定都市等の区域内に施設が存在する場合であっても、指定都市等の市長の監督に属さないことから、指定都市等の条例で定める最低基準は適用されないので御留意いただきたい。
 
(6)改正前の児童福祉施設最低基準の改正附則について
 改正前の児童福祉施設最低基準の改正附則の経過措置に関する規定であって、現在も適用されるべきものについては、その経過措置が、今般の改正により従うべき基準に区分された基準に関するものであるときは、従うべき基準として整理され、参酌すべき基準に区分された基準に関するものであるときは、参酌すべき基準として整理されるものであるが、具体的には、以下のとおりであるので、条例を制定する上で御留意いただきたい。
 ・従うべき基準となる改正附則の規定
  [1]児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令(平成10年厚生省令第15号)附則第2条から第5条まで(当局所管施設に係る部分に限る。)
  [2]児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成10年厚生省令第51号)附則第2項
  [3]児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第29号)附則第2項
  [4]児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第71号)附則第2条、第3条及び第5条(当局所管施設に係る部分に限る。)
  [5]児童福祉施設最低基準及び児童福祉法施行規則の一部を改正する省令(平成23年厚生労働省令第110号)附則第2条
 ・参酌すべき基準となる改正附則の規定
  改正附則の経過措置に関する規定のうち、従うべき基準となる規定以外のもの(当局所管施設に係る部分に限る。)
 
(7)その他
 [1]設備運営基準第1条については、設備運営基準の趣旨について規定したものであり、都道府県等におかれては、設備運営基準第2条以下を基に条例の制定を行っていただきたい。
 [2]第32条第1号から第3号における、0歳児及び1歳児の居室面積基準については、子どもの発達段階に応じて乳児室又はほふく室を設けることを求める趣旨である。具体的には、年齢によらず、子どもが自らの意思で動き回る前の発達段階においては乳児室の1人当たり1.65㎡という基準が、子どもが自らの意思でほふくにより動き回ることができる発達段階に至った時点でほふく室の1人当たり3.3㎡という基準が、それぞれ適用となるものである。自治体におかれては、同趣旨を踏まえ、条例制定を行っていただくようご留意いただきたい。
 [3]特区省令について
  厚生労働省関係構造改革特別区域法第2条第3項に規定する省令の特例に関する措置及びその適用を受ける特定事業を定める省令(平成15年厚生労働省令第132号。以下「特区省令」という。)において、公立保育所における給食の外部搬入方式の容認事業等の特例が定められているが、この特区省令は、都道府県等が定める条例に対して直接適用されるものではない。
  このため、既に特区認定を受けている、若しくは今後特区の認定の申請を予定している都道府県等にあっては、設備運営基準と特区省令の双方を参照し、特区省令の特例を反映できる形で、条例の制定を行っていただくよう御留意いただきたい。
 [4]整備法附則第4条の規定に基づき、都道府県等が保育所に係る居室の床面積の基準を定めるに当たっては、以下のとおり、分権省令で定める基準を標準として定める特例措置を設けているので、御留意いただきたい。
  ア 特例措置の対象となる地域の基準について
   地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律附則第4条の基準を定める省令(平成23年厚生労働省令第102号)により、特例措置の対象となる地域の基準は次のいずれの要件も満たす市町村(特別区を含む。以下同じ。)であること。
  (ア)当該年度の前々年度の4月1日時点において、当該市町村における待機児童の数が100人以上であること。
  (イ)当該年度の前々年の1月1日時点において、当該市町村の住宅地の公示価格の平均額が、三大都市圏の住宅地の公示価格の平均額を上回っていること。
  イ 特例措置の対象となる期間について
   地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備及び経過措置に関する政令平成23年政令第289号)により、特例措置の対象となる期間については平成27年3月31日までとすること。
 
3 施行期日
 改正省令は、平成24年4月1日から施行する。