通所介護、儲かりまっか

たまに日経新聞なんぞを読むことがあります。



介護各社、デイサービスで独自色 全拠点に理学療法士など
(2012/1/13 0:02 日本経済新聞 電子版)
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C889DE1E5EBE7EBE0E2E2E3E0E2E3E0E2E3E08698E0E2E2E2
 介護各社がデイサービス(通所介護)で独自サービスを導入する。ツクイは自社の全国約350拠点すべてに理学療法士を配置して高齢者のリハビリを支援。ユニマットそよ風は拠点の半数に当たる約70カ所で日曜も営業する。デイサービスは介護事業の中でも投資効率が高いとされ、拠点数は過去5年で2割増加した。独自サービスの導入で競争激化に備える。


 ツクイは利用者の機能回復訓練を指導する理学療法士を2012年度中に全…



この後は、会員でないと読めない、となっていますが、たまたま私の手元に1月13日の朝刊がありまして。

ツクイ(PTを350全拠点に配置)、ユニマットそよ風(13年3月期までに全130拠点の半数で日曜開業)、ニチイ学館(ドッグセラピーを順次全国に拡大)、などの記述の後、次のように締められています。



 デイサービスは介護事業の中でも参入しやすいとされる。1) 有料老人ホームなどの介護施設と比べて初期投資額を抑えられる2)ほか、利用者の自宅を訪問して回る訪問介護などと異なり、効率的にサービスを提供できる3)などの理由からだ。
 国も、財政難を背景に在宅介護を進める施策を打ち出している。4) 来春の報酬改定では、増額率1.2%のうち、在宅介護が1.0%を占める見込み。5) 建設時に多額の補助金を必要とする介護施設と比べて投資額が小さくて済むほか、利用分だけの費用負担に限られるため介護費用を抑えられるという。


かっこ数字は引用者が付しました。
なお、該当部分について全文引用したのは、日経紙の批判も目的としていて、なるべく正確に引用することが必要であるため、著作権法違反には当たらないと判断したからです。
(同紙関係者に限らず、反対意見があればコメントしてください。)
で、私のコメントです。
 

1)誰が「参入しやすい」としているか明確でない。

2)有料老人ホーム(法的には「介護施設」ではなく、よく使われる分類としては「居住系サービス」でしょうが)より通所介護が初期投資額が少ないのは事実。

3)訪問系との効率比較は地域条件等にもよる。人員が確保できれば、固定資産整備費用がかからない訪問系は参入しやすい面もある。

4)財政難だけが理由ではないが、事実。

5)国がいう増額率の中には、介護報酬とは別枠だった介護職員処遇改善交付金が参入される見込み。その率が純増になるのではなく、地域区分の見直しもあり、全国的には減額になる地域の方が多いと予想される。また、在宅介護の増分が通所介護に配分されるとは限らない。通所系については、サービス時間区分の見直しもあり、時間当たりのサービス単価は減額の可能性が高い。
 

ほかにもツッコミどころはありそうですが・・・

これらのことは、社会保障審議会介護給付分科会の資料や議事録などを読めば、比較的容易にわかるはずです。

記事中で紹介されているような大手事業者は当然、そういうことも承知した上で企業戦略を立て、儲からなかったときの対応(撤退とか)も含めて検討していることが予想されます。

困るのは、ちょっと小金や遊休不動産を持っているような個人、他業種法人などです。

それでなくても、怪しげなコンサルタント会社(怪しげでないコンサルも当然ありますが)が、甘言を持って誘いをかけたりします。
そこに、この日経の記事を見かけたりしたら、その気になって、現行の赤本・青本の内容ですら読んだことがないような人々が、都道府県の介護保険担当者を訪ねたりします。

「デイサービスは儲かるんでしょ?」

日経の記事は信用できない

とまでは言いませんが、日経の記事だけを読んで介護保険に参入しようとするのは、止めた方がいいです。