サービス支給量と訴訟

ALS訴訟 仮の義務付け決定
(テレビ和歌山:2011/09/27 20:09)

進行性の難病、筋萎縮性側索硬化症いわゆるALSの男性患者が和歌山市を相手取り、1日24時間の訪問介護の支給を求めている訴訟について、和歌山地方裁判所は今日までに和歌山市に月に511.5時間の介護サービスの支給を認めるよう仮に義務付ける決定をしました。

訴えを起こしているのは、和歌山市内に住む70歳代のALS患者の男性2人です。

訴えによりますと、男性2人は体の自由が利かず寝たきりで24時間の介護が必要ですが、和歌山市障害者自立支援法に基づき、1日あたり8時間、月に268時間の訪問介護サービスしか支給せず不十分だとしていて、市を相手取り1日24時間の介護などを求めています。

現在は、事業所のヘルパーが原告を支援しているということですが、原告2人の妻はともに高齢で裁判中にもその支援が滞ると介護態勢が直ちに崩れるとして、原告側の弁護団はこの裁判とは別に、仮の義務付けを申し立てていました。

原告2人のうち、1人が今月死亡したため、残る男性1人について和歌山地方裁判所の高橋善久裁判長は、「ほぼ常時、見守りを含めた介護サービスを必要とする状態にあることが認められる」とした上で、「職業付添人による介護サービスがなければ、必要十分な介護サービスを受けることができず、生命や身体に対する重大な危険性が発生する可能性があり、緊急の必要があると認められる」として、平成24年5月末日まで、または、裁判の判決が確定するまで、月511.5時間、1日あたり16.5時間の支給決定を仮に義務付けました。

男性は、現在、介護保険法により、1日あたり3.5時間分の介護サービスが支給されていて、今回決定された16.5時間とあわせ、20時間の介護が、支給されることになります。

会見で、原告側弁護団の長岡健太郎弁護士は、「障害者自立支援法に関する裁判で、仮の義務付け命令を認めた決定は、全国で初めて。画期的な決定で、この裁判に与える影響は大きい」と評価しました。
http://www.tv-wakayama.co.jp/news_w/news.php
 


 
一部省略、改行、文字の強調などは引用者が行いました。

障害福祉サービス:16.5×31日=511.5(時間)・・・おそらくは、重度訪問介護

介護保険訪問介護)サービス1日3.5時間の計算過程がわかりませんが、
身体介護7(3時間以上3時間半未満)916単位か、
ひょっとしたら身体介護8(3時間半以上4時間未満)999単位に、31日を乗じる計算でしょうか。

訪問介護では特定事業所加算や地域加算の有無などによって単価が異なりますし、
他にどんなサービスを利用しているかによって限度額内で利用できる回数が変わってくるのですが。

さて、正式な判決が出たわけではないのですが、現時点での私の雑感です。
 
・長時間介護が認められる方向はよいとして、財源面はどうなるか(少なからぬ政治家が消費税論議を避けているが)
介護保険業界でも、ケアマネ、ヘルパー、看護師などは、障害サービスとの関係を熟知しておいた方がよい
・導入が議論されている巡回型サービス等は、こういう重度障害者には向かないのではないか?
・生命、生活維持に関するサービスについては、常に訴訟リスクがある(特に行政)