適切な支給決定(その2)

引き続き、障害保健福祉関係主管課長会議資料(平成22年3月4日開催)の障害福祉課・本体資料より


(3)重度訪問介護等の適切な支給決定について

 重度訪問介護等に係る支給決定事務については、「重度訪問介護等の適正な支給決定について」(平成19年2月16日付事務連絡)において、留意すべき事項をお示ししているところであるが、以下の事項について改めてご留意の上、対応していただきたい。
 ① 平成21年4月より、重度訪問介護の報酬単価については、サービス提供時間の区分を30分単位に細分化したところであるが、これは、利用者が必要とするサービス量に即した給付とするためのものであって、重度訪問介護の想定している「同一箇所に長時間滞在しサービス提供を行うという業務形態」の変更を意味するものではなく、サービスが1日に複数回行われる場合の1回当たりのサービスについて30分単位等の短時間で行うことを想定しているものではないこと。
 ② これまでに、利用者から「短時間かつ1日複数回にわたるサービスで、本来、居宅介護として支給決定されるはずのサービスが重度訪問介護として支給決定を受けたことにより、サービスを提供してくれる事業所が見つからない」といった声が寄せられているところである。短時間集中的な身体介護を中心とするサービスを1日に複数回行う場合の支給決定については、原則として、重度訪問介護ではなく、居宅介護として支給決定すること。
 また、「見守りを含めたサービスを希望しているにもかかわらず、見守りを除いた身体介護や家事援助に必要な時間分のみしか重度訪問介護として支給決定を受けられない」といった声も寄せられているところである。重度訪問介護は、比較的長時間にわたり総合的かつ断続的に提供されるものであり、これが1日に複数回提供される場合であっても1回当たりのサービスについては、基本的には見守り等を含む比較的長時間にわたる支援を想定しているものであることから、利用者一人ひとりの事情を踏まえて適切な支給量の設定を行うこと。

(4)居宅介護におけるサービス1回当たりの利用可能時間数について

 居宅介護は、身体介護や家事援助などの支援を短時間に集中して行う業務形態を想定しており、必要に応じて、1日に短時間の訪問を複数回行うなど、利用者の生活パターンに合わせた支援を行っているところである。
 このため、支給決定事務等に係る事務連絡において、支給決定を行った障害者等に交付する受給者証に、居宅介護については、サービス1回当たり利用可能時間数を記載することとしており、また、サービス1回当たりの標準利用可能時間数を「身体介護3時間まで、家事援助1.5時間まで」と示しているところである。
 しかしながら、支給決定に当たっては、申請のあった障害者等について、一人ひとりの事情を踏まえて適切に行うことが必要であり、居宅介護のサービス1回当たりの利用可能時間数についても、標準利用可能時間数を一律に適用するのではなく、場合によっては、標準利用可能時間数を超える時間数の設定など、一人ひとりの事情を踏まえて支給決定することに留意されたい。


【参考】平成21年10月7日付事務連絡「平成21年10月からの介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」より抜粋
(「第2 支給決定事務」の「Ⅹ 受給者証の交付」のうち関連部分)

イ)支給量等
 a 支給量の記載例
   以下は記載例であり、事業者が記載内容の意味を誤解するおそれがないと認められる限りにおいて、各市町村の判断により適宜略記等することは差し支えない。
 (a)居宅介護(居宅における身体介護中心)、居宅介護(通院等介助(身体介護を伴う場合)中心)、居宅介護(家事援助中心)、居宅介護(通院等介助(身体介護を伴わない場合)中心)
   ・・・〇〇時間30分/月(1回当たり〇時間まで)
      ※ 1回当たりの標準利用可能時間数(身体介護3時間まで、家事援助1.5時間まで)
       を超える承認をする場合、しない場合を含め、1回当たりの利用可能時間数を記載する。


 (3)も、ネット上でときどき話題になる問題です。
 前記事の(1)(2)もそうですが、こういう問題が全国担当課長会議の資料に出るということ自体、厚労省の調査結果がどうであれ、実態として不適切な対応の自治体が存在するという証拠といえるかもしれません。

 もちろん、こういう介護保険などとは違った苦労をしながら、適切な対応に努めている自治体職員が多数存在することも事実ではあります。

※色つき部分は、原文では下線が引いてあります。