介護保険法の概要(3)

第五章 介護支援専門員並びに事業者及び施設

 第一節 介護支援専門員
  第一款 登録等(第六十九条の二―第六十九条の十)
  第二款 登録試験問題作成機関の登録、指定試験実施機関及び指定研修実施機関の指定等(第六十九条の十一―第六十九条の三十三)
  第三款 義務等(第六十九条の三十四―第六十九条の三十九)

 ケアマネの登録や取消し、欠格事項、5年ごとに更新手続きが必要なこと、義務などが規定されています。
 有効なケアマネ登録がされているケアマネでないと、ケアマネとして勤務することはできません。

 第二節 指定居宅サービス事業者(第七十条―第七十八条)

 居宅サービス事業者の指定、欠格条項(役員等を含む)、6年ごとの指定更新等について規定されています。
 指定基準については、これまで厚生労働省令で規定されていましたが、平成24年4月からは、指定権者(都道府県・政令市・中核市)の条例で定めることとなりました。ただし、人員基準など重要部分については国の基準に従うべきとされています。
 なお、他の制度によって指定などを受けている場合には、居宅サービス事業者としても指定されているものとしてみなされる場合があります(みなし指定)。
 また、法令で定められている事項に変更があったときには、10日以内に都道府県に届け出る必要があります(事前でもかまいません)。
 休止や廃止をする場合には、その1月前までに都道府県に届け出る必要があります(休止後の再開は、事後10日以内の届出です)。

 それから、都道府県や市町村は、事業者や従業者等に対して、報告や帳簿の提出を求め、事業所等に立ち入り検査を行うことなどができます(第76条関係)。
 ここには「監査」という言葉は出てきませんが、厚生労働省は、この第76条などが監査の根拠条文という見解です。
 ちなみに、実地指導の根拠は第23条・第24条というのが国の見解です。
 さらに、勧告、命令、指定取消なども、この節で規定されています。

 以下、第八節まで、各サービスごとに似たような構造になっています。
 (介護老人保健施設だけは、「指定」ではなく「許可」になります。)

 第三節 指定地域密着型サービス事業者(第七十八条の二―第七十八条の十七)
 第四節 指定居宅介護支援事業者(第七十九条―第八十五条)
 第五節 介護保険施設
  第一款 指定介護老人福祉施設(第八十六条―第九十三条
  第二款 介護老人保健施設(第九十四条―第百六条)
  第三款 指定介護療養型医療施設(第百七条―第百十五条)
 第六節 指定介護予防サービス事業者(第百十五条の二―第百十五条の十一)
 第七節 指定地域密着型介護予防サービス事業者(第百十五条の十二―第百十五の二十一)
 第八節 指定介護予防支援事業者(第百十五条の二十二―第百十五条の三十一)

 介護予防支援事業者というのは、実質的に地域包括支援センターです。

 第九節 業務管理体制の整備(第百十五条の三十二―第百十五条の三十四)

 事業者は、指定や許可を受けている事業の数に応じて、業務管理体制を整備する必要があります。
1)事業所数が20未満:法令遵守責任者の選任
2)事業所数が20以上100未満:1に加えて、業務が法令に適合することを確保するための規程を整備すること
3)事業所数が100以上:1と2に加えて、業務執行の状況の監査を定期的に行うこと
 なお、事業所数は同じ場所にあっても、介護予防サービスを含めて指定を受けているサービス種類ごとに数えますが、医療機関の「みなし指定」は含みません。

 事業者は、法令遵守責任者の氏名等や、2や3の概要を、次の機関に届け出る必要があります。
1)ひとつの市町村内で地域密着型サービス(介護予防地域密着型サービスを含む)だけを行う法人:市町村
2)複数の都道府県に事業所がある法人:国
3)1と2以外の法人:都道府県

 届出事項に変更があったときは、変更届が必要です。
 また、事業所数が増減して、届出機関の区分が変わったときは、変更前・変更後それぞれの機関に届け出る必要があります。
 なお、各機関が事業者に報告を求めたり、立ち入って検査等を行うことができるなどが規定されています。

 第十節 介護サービス情報の公表(第百十五条の三十五―第百十五条の四十四)

 事業者は、一部のサービスを除き、毎年、サービス情報について都道府県に報告することとなっています。
 その報告を受けて、都道府県(たいていは別の指定調査機関に実施させます。)は事業者を調査し、その内容を公表することになっています。


第六章 地域支援事業等(第百十五条の四十五―第百十五条の四十八)


 市町村は、地域包括支援センターを設置し、または委託して、地域生活支援事業等を行います。
 地域生活支援事業には、被保険者が要介護・要支援となることを予防したり、被保険者の状況把握や援助、虐待を防止すること、給付の適正化や事業者等の指導など、さまざまなものが含まれます。
 また、市町村は、その他の保健福祉事業を行うこともできます。