介護保険法の概要(4)

第七章 介護保険事業計画(第百十六条―第百二十条)


 国が定めた基本指針に則して、市町村は介護保険事業計画を定めます。計画は3年を1期とし、市町村の老人保健福祉計画と一体のものとして作成します。
 都道府県は、その市町村介護保険事業計画を支援するため、介護保険事業支援計画を作成します。やはり、3年を1期とし、都道府県老人保健福祉計画と一体のものとして作成します。
 介護保険施設や特定施設入居者生活介護などのサービスについては、介護保険事業計画や介護保険事業支援計画の定員枠を超えるなど支障がある場合には、指定申請等があっても、都道府県は指定や許可をしないことができます。また、地域密着型サービスの見込量を確保するために市町村が都道府県に協議を求めることがあり、その状況によっては都道府県は居宅サービスの指定を行わないことができます。
(逆にいえば、そういう規定のないサービスについては、指定基準を満たしていれば、都道府県は指定をすることになります。)


第八章 費用等 第一節 費用の負担(第百二十一条―第百四十六条)


 国の負担は次のとおりです。
1)介護給付・予防給付に要する費用の20%。ただし、介護保険施設と特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護についての負担率は15%。
2)介護保険の財政の調整を行うため、市町村に交付する調整交付金(5%。ただし、1号被保険者の年齢や所得の分布状況等を考慮して配分。)
3)地域支援事業に要する費用の25%(ただし、介護予防事業のみ。他の事業については別計算。)。

 都道府県の負担はつぎのとおりです。
1)介護給付・予防給付に要する費用の12.5%。ただし、介護保険施設と特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護についての負担率は17.5%。
2)介護保険の財政の調整を行うため、市町村に交付する調整交付金(5%。ただし、1号被保険者の年齢や所得の分布状況等を考慮して配分。)
3)地域支援事業に要する費用の12.5%(ただし、介護予防事業のみ。他の事業については別計算。)。

 市町村の一般会計における負担は次のとおりです。
1)介護給付・予防給付に要する費用の12.5%。
2)介護保険の財政の調整を行うため、市町村に交付する調整交付金(5%。ただし、1号被保険者の年齢や所得の分布状況等を考慮して配分。)
3)地域支援事業に要する費用の12.5%(ただし、介護予防事業のみ。他の事業については別計算。)。

 2号被保険者(医療保険)が負担する率は、3年ごとに政令で定められます。

 1号被保険者から徴収する保険料は、政令で定める基準に従い、市町村の条例で定める保険料率により決定されます。
 1号被保険者の保険料は年金から天引き(特別徴収)されますが、年金がないか、金額が少ないときなどは、市町村が発行する納付書等により納付することになります(普通徴収)。普通徴収の納付期限、月割り額等は、市町村が定めます。
 市町村は、条例で保険料の減免や徴収猶予などについて定めることができます。
 保険料の賦課や徴収、滞納処分等に際しては、地方税法地方自治法の規定が準用される場合があります。


 第二節 財政安定化基金等(第百四十七条―第百四十九条)

 市町村の介護保険財政の安定化のため、財政安定化基金や市町村相互財政安定化事業などの制度があります。

 第三節 医療保険者の納付金(第百五十条―第百五十九条)

 都道府県や市町村の一般的な担当者には関係が薄いので省略します。


第九章 社会保険診療報酬支払基金介護保険関係業務(第百六十条―第百七十五条)


 都道府県や市町村の一般的な担当者には関係が薄いので省略します。


第十章 国民健康保険団体連合会の介護保険事業関係業務(第百七十六条―第百七十八条)


 国保連は、市町村から委託を受けて、事業者からの請求について審査・支払いを行うほか、第三者行為の損害賠償請求、苦情窓口やそれに関する事業者への指導・助言等も行います。


第十一章 介護給付費審査委員会(第百七十九条―第百八十二条)


 略


第十二章 審査請求(第百八十三条―第百九十六条)


 保険給付に関する処分について不服がある場合には、都道府県が設置する介護保険審査会に審査請求をすることができます。
 その処分取消しの訴訟は、この章の規定に基づく審査請求に対する裁決を経てからでないと提起できません。


第十三章 雑則(第百九十七条―第二百四条)


 国や都道府県は、市町村に介護保険事業について報告を求めることができます。また、国は第5章(ケアマネや事業者、施設等に関する事務)について、都道府県や市町村に報告を求めることができます。
 保険料などこの法律に基づく徴収金等は2年で消滅時効になること、徴収金の先取特権や督促状の時効中断、被保険者の関係者への照会等について、地方税等に準じる性格を持つことなどが規定されています。
 なお、この法律に基づく事務については、社会保険診療報酬支払基金に対する滞納処分や医療保険に対する調査など、ごく一部の都道府県事務だけが法定受託事務とされています。あとは、自治事務です。


第十四章 罰則(第二百五条―第二百十五条)


 これまでの条文に違反した場合などの罰則が規定されています。


附則


 今後の介護保険制度についての検討や、経過措置等について規定されています。
 経過措置については、介護保険法施行法も重要です。