何を今さら

【ゆうゆうLife】要支援→要介護 ケアマネ交代 家族もへとへと

http://sankei.jp.msn.com/life/body/100304/bdy1003040745001-n1.htm
(2010.3.4 MSN産経ニュース)

積み上げた信頼 回復になお時間
 介護サービスを受ける高齢者や家族にとって、気心の知れたケアマネジャー(ケアマネ)の交代はストレスだ。しかし、介護度が要支援から要介護に悪化すると、ケアマネは原則、交代する。家族からは「高齢者には昨日と同じ明日が来ることが一番大切。ケアマネが交代せずに済むようにならないのでしょうか」との声が上がっている。(佐藤好美)

何を今さら・・・という感じですが。
(注:記者の佐藤好美さんに対する文句ではありません。)

 要支援から要介護になると、ケアマネジャーは原則、交代する。要支援の人へのサービスは介護予防が目的。このため、予防や保健指導にたけたスタッフがいる地域包括支援センター(地域包括)」が予防プランを作ることになっているからだ。

色塗り部分は多少なりとも制度のタテマエというか、ややフィクションが入っている要素がありますので(そうでない地域包括も当然ありますが)、制度を知らない方は注意してお読みください。

 ケアマネ交代が不便だとの声について、厚生労働省は「地域包括は予防プランを、事業所のケアマネに一定数、委託できる。要支援から要介護になりそうな人や、要支援と要介護を行き来するような高齢者については、委託で対応してほしい」という。

出た! 反省のかけらもない、厚労省の強弁!

「一定数」(ケアマネ常勤換算1人当たり8件)を超えた場合はどうなる?

それに、
「要支援から要介護になりそうな人や、要支援と要介護を行き来するような高齢者」
って、普通にいっぱいおられますよ。
まさか、例外的存在だというような馬鹿なことは、言わない(言えない)ですよね?

 ただ、こうした方針に立正大学の國光登志子教授(老人福祉論)は疑問をはさむ。「予防プランの作成は、利用者の生活が不活発になるのを防ぐなど、介護のケアプランと異なる配慮もいる。予防や保健指導の下地のないケアマネには精神的にも負担なうえ、プラン作成の介護報酬も安く、事業所はなかなか受けたがらない。利用者がケアマネは代わらない方がいいと考える気持ちは分かるが、人が代わることで違った介護の方法があると分かる利点もある」と指摘。そのうえで、ケアマネ交代には連携と配慮が必要とする。

本当にこの報道のとおりの発言をされたのかわかりませんが、事実としたら、色塗り部分は問題ありです。

予防プラン(介護予防サービス計画は、本来は要介護者のケアプラン(居宅サービス計画)と大きく異なるものではないはずです。
すぐれたケアマネは、予防給付制度が始まる前から、中~重度の要介護者に対してさえも、生活が不活発になるのを防ぐようなことを念頭に置いて関わっていました。
また、現行の予防プランの対象者の中にも、単に認定が要支援というだけで、「予防重視」ではない計画が必要な人もいます(たとえば末期ガン患者)。

また、予防給付制度スタート後には、「予防や保健指導の下地のないケアマネ」よりも、「介護保険の下地のない地域包括支援センター職員(特に保健師)」の弊害の方がはるかに大きかった、という声もネット上に溢れていました。
(もちろん、そうでない地域包括職員は保健師を含めて少なからず存在しましたし、今は多少なりとも地域包括職員のレベルが上がってきている印象もあります。)

予防プランの報酬が安いのは事実ですが(加算も少ない)、「人が代わることで違った介護の方法があると分かる利点」というのは、まさにコジツケという感じです。

この予防給付と介護給付のケアマネジメントの不連続性については、
「介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集」にも書くかもしれませんが、
関心のある方は、とりあえず、こちらのページまたは、「うぃずライン」No.5 臨時号をご覧ください。