延長保育の事業仕分け【速報版】

行政刷新会議ホームページ」より
http://www.cao.go.jp/sasshin/
【速報版】 行政刷新会議事業仕分け

第2WG 評価コメント

評価者のコメント
事業番号2-25 延長保育事業
(次世代育成支援対策交付金
・ 延長保育事業は、基本的に強化すべき。ただし、厚生労働省は必要とされるデータを全く持っていない。データの提示なくして、必要額や会計の議論はできない。

・ 延長保育の支援は大変に重要で、公共セクターによる支援は継続すべきである。ただし、財源は都道府県が合意するのであれば、年金特別会計児童手当勘定でかまわない。都道府県が反対する場合、特別会計1/2、市町村1/2にすべき。

・ 全体(保育事業)としてのサービスの負担割合について、検討してほしい。

・ 2年以内の子ども手当て創設に伴い、保育の抜本的な制度改革を行うべき。とりわけ、ソフト交付金と児童育成事業の項目の多さは驚きで、地方に一括して財源を渡すべき。

・ 財源についても、特別会計の負担割合を見直す。積立金も活用し、都道府県に新たな負担のないようにする。受益者負担の観点から、補完的保育サービスまで一般国民が負担するのはおかしい。

・ 厚生労働省セクショナリズム「保育=福祉」の固定観念が強い。延長保育を事業主拠出金及び民間企業(社会福祉法人)に限定しすぎ。

・ 児童手当勘定や、労災特会などからの支出で事業の継続を図るべき。児童手当勘定の積立金が800億円あるというのには驚いている。時間外保育延長は、必要とされるのは一般的に残業対応である。本来、国民の福祉向上を思うなら、残業などない勤労状況を目指すべきで、貴重な一般会計の使い道は「待機児童の解消」の方向で政策の充実を図るべきと考える。

・ 埋蔵金で2年間制度を継続し、その間にトータルで国民が安心して子育てできる制度をつくりあげて欲しい。来年度の早いうちに制度提案できるとの説明があった。

・ 延長保育については、受益者負担の増加の検討も必要では。一般会計で実施した方がよい。年金特別会計に移した場合に、企業の実効税率がどうなるかの議論が必要。全体として企業負担を増加させる議論の流れであるが、企業の競争力への配慮も重要。

・ ニーズの具体的な把握について、工夫をしていく必要があると思います。埋蔵金があるなら、保育所の増設に使えばよい。

・ 「次世代育成支援」に関する全体のスキームができるまで、現状(一般会計)で手当てすべき。しかし、多数の事業は保育園/親子(申請者=受益者)から見て、簡便で使いやすい形に抜本的に統一すべき。

・ 来年度はこのままサービスの継続が必要。特別会計の中でどのような次世代育成対策支援をするのかを22年度に考え、整理し、23年度には整理した形で新しくスタートさせる。延長保育事業そのものは、ワーキング保護者が増加していること、また、出生数を増やすことをサポートするためにも、継続・強化する必要がある。財源については、コンスタントに予算がとれる枠があるようにすべき。一般会計・特別会計、どちらでもよい。ただし、埋蔵金があり、使うあてがないのであれば、これに充てることは必要だ。

WGの評価結果
延長保育事業(次世代育成支援対策交付金
見直しを行う
(廃止 0名 自治体/民間 0名 見直しを行わない 3名
 見直しを行う 9名:
  ア.他の保育サービスと同様に、特別会計により実施 8名
  イ.その他 1名

とりまとめコメント
 子ども手当ての創設にみられるように、社会全体で子育てを応援していくことに力点を置いていることは言うまでもなく、この延長保育事業もムダという議論はなく、必要だという認識であることを指摘する。
 その上で、本WGでの判定のとおり、延長保育事業は「見直し(特別会計により実施)」という結論とさせていただく。現在は制度的な過渡期にあるため、抜本的な保育のあり方について政務三役でしっかりと議論し、その中で負担のあり方についても、議論を行っていただきたい。当面1,2年の間は、特別会計の中で負担するという形で予算要求をお願いしたい。
 ただし、次世代育成支援対策交付金は国1/2、市町村1/2で、児童育成事業費は国1/3、都道府県1/3、市町村1/3という負担については、特会に移管することにより、地方自治体や受益者に過度な負担が生じることのないよう、法改正なども含めて検討していただきたい。
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov16kekka/2-25.pdf


議論の過程の詳細がわからないので、厚生労働省がどのようなデータを求められ、どの程度しか答えられなかったのかもわかりません。

ただ、

時間外保育延長は、必要とされるのは一般的に残業対応である。本来、国民の福祉向上を思うなら、残業などない勤労状況を目指すべき

延長保育については、受益者負担の増加の検討も必要では。

という、一見、正論に見える意見(もちろん、本当に正論の部分もありますが)に対しては、
・遠方の保育所しか利用できない場合がある(職場を「定時」に出ても「延長」になってしまう)
・就労時間帯が一般的なサラリーマンとは違う職種がある(これは「公務員」でもあり得る)
・病気や介護で延長保育を利用せざるを得ない場合がある(これはネット上で見かけた女性のブログでも書かれていました)
という程度は即座に反論していただきたかったと思います(反論されたかもしれません)。

何より、

こどもをすこやかに育てる、ということについては、社会全体が受益者である

という視点を、仕分け委員も政府職員も持つべきでしょう。