「超過死亡」を考えてみる

「隠れコロナ」の死亡者はそんなにいるのか? メディアで話題の「超過死亡」について検証する
BuzzFeed Japan 6/25(木) 11:42配信)

新型コロナウイルスの流行によって多くの大切な命が奪われた。ここに来て、複数のメディアで話題になっているのが、「超過死亡」の数だ。「超過死亡」とは、平年よりも何らかの原因で増えている死亡のこと。新型コロナによってどれほど上乗せされたのか、そして、新型コロナと診断もされずに亡くなった「隠れコロナ死」がどれほどあるのか。日本の医療や検査体制の不備を糾弾する材料として挙げられていることも多いこの数字だが、事実はどうなのか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cf22fec3371b741dc24e914c56c5d223e110f91e?page=1

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以下、記事では、超過死亡が相当にある(公表されているよりも新型コロナウイルス感染症による死亡者数は多いのではないか)というメディア記事や、それに対する懐疑的な意見などが掲載されています。

通常の(新型コロナウイルス感染症がないときの)死亡者数がどれぐらいの水準か、ということを計算するのが大変そうなので、私は大胆にばっさり行くことにしました。

 

人口動態統計速報(令和2年4月分)より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/04.html

 

この統計で見ると、1月から3月までは、前年(2019年・平成31年)よりも死亡者数(全国の絶対数)が減っています。

 

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念のため、前々年(2018年・平成30年)も並べてみました。

どの年も1月が多いのは、インフルエンザのせいでしょうか。でも本年(2020年・令和2年)がはっきり少なくなっています。

2月、3月と、その本年の「優位性」みたいなものが少なくなり、4月は若干ですが前年より増えています。もっとも、高齢化が進むほど死亡率が高くなると考えられること、2018年から2019年への増加に比べると2019年から2020年への増加はゆるやかであること(100万人あたり5人の増加なので、ほとんど誤差の範囲内かも)、などから、超過死亡があった、とまでは言いにくいように思います。

 

これだけでは、都道府県別の数値がわからなかったので、次のサイトも利用して調べてみました。
https://www.e-stat.go.jp/

 

4月の死亡者数についての3か年の比較です。都道府県別の推計人口などを調べて死亡率を算出すべきだったかもしれませんが、手っ取り早く絶対数だけで比較してみました。

 

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多くの道府県では2019年から2020年にかけて減少しているか、増加している自治体でもその前(2018年から2019年にかけて)よりも増加数が減っているか、という状況です。

2019年から2020年にかけての増加が目立つ都府県に黄色を塗ってみましたが、人口が少ない県では誤差の範囲内である可能性が高いので、超過死亡を疑うのなら東京都、大阪府の2自治体かな、と思います(超過死亡がある、と断定するつもりはありません)。

 

ついでに政令指定都市と東京都特別区

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仙台市にも色塗りしましたが、これも、疑うのなら東京と大阪、でしょうか。


なお、速報版なので、確定版では数値が変わる可能性があります。
現に、某新聞社の記事中の東京都のデータは、この数値よりもいくらか多くなっています。

 

ですが、少なくとも4月までは、新型コロナウイルス感染症によって(欧米などのように)多数の超過死亡が出た、とは言いにくい状況のように思います。

 

今後はどうなるかは、私にはまだわかりません。

ただ、基礎疾患のある人々の受診控え、各種乳幼児健診の受診減、などが続くようなら、そちらの方が怖いのではないかと考えています。