大都市と地方、サービスが足りないのはどちらか

第107回社会保障審議会介護給付費分科会資料(平成26年9月3日)には、「地域区分について」という資料があるようです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000056449.html

それで、というわけではありませんが、介護保険障害福祉サービスの報酬については、
以前から現行の地域区分、というより、大都市圏と地方との単価差に疑問を持っているので、
ちょっと調べてみることにしました。

大都市と地方、サービスが足りないのはどちらか?

今回、主に用いたのは、介護保険事業状況報告(暫定)平成26年6月分
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m14/1406.html

これは、現物給付が26年4月サービス分、償還給付が5月支出決定分です。
医療系サービスのうち、人材が不足しがちと思われる訪問看護と訪問リハビリ、
それに福祉(介護)系サービスの代表として訪問介護を抜き出してみました。

それぞれの保険者ごとの給付総額を、介護予防支援と居宅介護支援の利用者数で割ります。
つまり、各サービスのケアプラン利用者の1人当たり給付額が、自治体の人口規模によってどのように異なるか。

なお、各自治体の人口は、「統計でみる市区町村のすがた2014」(総務省統計局)によりました。
(直近の国勢調査結果が元データのようです。)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001053740&cycode=0



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注:広域連合など複数の市町村で1の保険者扱いとなっている自治体は、人口規模の分類が難しいので、
 全国平均を除いて集計から除外しています。
 
予想どおり、といいましょうか、各サービスとも平均値としては、東京都特別区がもっとも利用額が多くなり、人口規模が小さくなるほど利用額も少なくなる傾向でした。
(訪問リハビリについては、人口10万人以上50万人未満の規模が、それより規模が大きな政令市クラスを若干上回る、一種の逆転現象が起きています。)
 
以前、「特集・ケアマネジメントは本当に貧困か」という駄文の図8等で触れたことがありますが、保険者ごとのばらつきは、けっこうあります。
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/tokushuu/cm01.html
 
なので、各カテゴリー(人口規模)の平均値だけ比較せずに、利用額が極端に低い自治体(全国平均の2分の1未満)の件数も拾ってみました。
各表の下段の「給付額0の自治体数」も併せてご覧いただければ、と思いますが、小規模な自治体ほどサービスが少ない、というより「ほとんどない」という過酷な自体の割合が増えます。
 


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各サービスの全国平均値を「100」にしたグラフです。
地方のケアマネの方が極端に能力が低い・・・・・とは考えられないので、
サービス供給量が大都市の方に多く、地方が少ない、と考えるのが自然ではないかと思います。
 
家族の同居率や施設サービス利用率など、地域の条件が異なるので、今回の資料だけでは断定できませんが、それでも、現行の地域間の単価差が必要かどうかは、疑問を持つだけの意味があるような期がします。
 
だいたい、報酬単価差が国家公務員の給与の地域格差を元にしているところが疑わしいような・・・