89 なぜ訪問介護の基本報酬を引き下げるのか。引き下げに反対。
今般の介護報酬改定では、全体で+1.59%を確保し、サービスごとの経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行いつつ、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行うため、介護職員の処遇改善分+0.98%、その他の改定率として、+0.61%を確保したところです。
訪問介護の基本報酬については、
・改定率1.59%のうち、0.61%は、介護職員以外の職員の賃上げが可能となるよう配分すること
とされている中で、訪問介護の現場は、そのような職員の割合が低いことや、
・介護事業経営実態調査で収支差率7.8%と、介護サービス全体平均の2.4%と比べ相対的に高かったこと
を踏まえて見直ししているものです。
ただし、報酬改定のうち、介護職員の処遇改善に充てる改定率+0.98%分について、全職員に占める介護職員の割合が相対的に高い訪問介護は、見直し後の体系で14.5%から24.5%と他サービスと比べて高い水準の加算率を設定しています。
また、特定事業所加算や認知症に関連する加算を充実することなどにより、訪問介護は、改定全体としてプラスの改定としたところです。
このような見直しなどを通じて、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスを安心して受けられるよう、引き続き取り組んでまいります。
90 訪問介護の基本報酬引き下げにより、ヘルパー不足がより深刻化すると考えるが、どのように対応していくのか。施設から在宅へという流れに反するのではないか。
今般の介護報酬改定において、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に進める観点から、訪問介護については、
・基本報酬の見直しを行いつつ、
・処遇改善加算の見直しについては、見直し後の体系で14.5%から24.5%と他サービスと比べて高い水準の加算率を設定しています。
また、特定事業所加算や認知症専門ケア加算を充実することなどにより、訪問介護は、改定全体としてプラスの改定としたところです。
地域包括ケアシステムの構築を推進し、住み慣れた地域でできる限り暮らしていただくために、在宅サービスを整備していくという方向性は変わりありません。
その上で、処遇改善加算については、訪問介護をはじめとした現場において、加算未取得の事業所は加算を取得し、既に取得している事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行いただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう、計画書等の様式の簡素化など必要な対応を講じることとしており、小規模な事業所も含め、更なる取得促進に向けた環境整備を進めてまいりたいと考えています。
91 訪問介護の基本報酬を引き下げたのは、介護事業経営実態調査において訪問介護の収支差率が良好だったためと説明されているが、実態調査において訪問介護の収支差率が良好なのはサ高住等の併設事業所の収益率が高いからであり、小規模事業者の状況を適切に把握できているとは考えられない。このような調査結果に基づいて基本報酬の引下げを行うのは妥当ではない。
訪問介護の基本報酬については、
・今回の介護報酬改定の改定率1.59%のうちの0.61%分について介護職員以外の職員の賃上げが可能となるよう配分することとされている中で、訪問介護の現場は、そのような職員の割合が低いことや、
・介護事業経営実態調査で収支差率7.8%と、介護サービス全体平均の2.4%と比べ相対的に高かったこと
を踏まえて見直ししているものです。
ただし、報酬改定のうち、介護職員の処遇改善に充てる改定率+0.98%分について、全職員に占める介護職員の割合が相対的に高い訪問介護は、見直し後の体系で14.5%から24.5%と他サービスと比べて高い水準の加算率を設定しています。
また、今般の改定では、特定事業所加算や認知症専門ケア加算などを充実する見直しを行うほか、訪問介護について、同一建物等の居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて、訪問件数は増加し、移動時間や移動距離は短くなっている実態を踏まえ、同一建物等の居住者へのサービス提供の更なる適正化を図ることとしています。
なお、介護事業経営実態調査を行うにあたっては、サービスの種類ごとに、事業所規模などに応じて、調査対象事業所を抽出し、調査結果は回答率をもとに補正するなど、偏りのない結果となるよう努めているところです。
いわゆる同一建物減算(事業所と同一建物に居住する利用者へサービス提供を行う場合に、その状況に応じて減算)の算定有無別の収支差率は、介護給付費分科会でも公表しており、減算の算定がある事業所では9.9%、算定がない事業所では6.7%と、いずれも全サービス平均2.4%よりも高い収支差率となっています。
92 訪問系サービス各種の基本単位数の引き下げに反対。
今回は+1.59%の改定の下、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いつつ、サービス毎の経営状況の違いも踏まえたメリハリのある対応を行うこととしております。
こうした考え方に基づき、ご指摘の訪問系サービスについては、基本報酬の見直しを行いました。その上で、訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護については、処遇改善加算の加算率を他の介護サービスと比べて高く設定する等、訪問看護については専門管理加算の創設等、介護予防訪問リハビリテーションについては退院時共同指導加算の創設等、評価の充実を図っております。
なお、処遇改善加算については、訪問介護をはじめとした現場において、加算未取得の事業所は加算を取得し、既に取得している事業所は新たな処遇改善加算の体系に早期に移行いただくことで、介護職員の賃上げを実現できるよう、様式の簡素化など必要な対応を講じることとしており、更なる取得促進に向けた環境整備を進めてまいります。
93 訪問系サービス各種の基本単位数には、その訪問にかかる費用が加味されていると思われるが、現在の物価水準で何円若しくは何単位ほどと考えているのか。また移動手段には自動車、バイク、自転車、電車などが考えられるが、貴省はどのような認識で制度設計しているのか明確にすべき。
訪問介護をはじめとする訪問系サービスの介護報酬については、移動時間を含め、サービスに要する平均的な費用の額を勘案して包括的に単位設定しています。
96 居宅介護支援の基本報酬が引き上げられたが、ケアマネジャーの処遇改善において、この単位数増では不十分である。また、基本報酬の増や取扱件数の増による利益については必ずしもケアマネジャーの給与に反映されない。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーの処遇改善を行うことは重要であると考えており、居宅介護支援について、基本報酬の引き上げやケアマネジャー1人当たりの取扱件数の見直しだけでなく、特定事業所加算の単位数の引き上げ等を行うこととしています。
今回の改定の影響については、今後実態を把握し、引き続き必要な対応を行ってまいります。
97 困難事例の増加に伴い、ケアマネジャーに求められる業務が増え、煩雑化し、社会的責任が重くなっているにも関わらず、賃金が改善しないため、慢性的に人員が不足している。ケアマネジャーを処遇改善加算の対象としてほしい。
処遇改善加算は介護職員の配置が義務付けられているサービスを対象とした加算であり、居宅介護支援は対象となりませんが、そうした枠組みの中で、居宅介護支援事業所のケアマネジャーの処遇改善を行うため、居宅介護支援の基本報酬を引き上げるとともに、特定事業所加算の要件の見直し及び単位数の引上げや、ケアマネジャー1人当たりの取扱件数の見直し及び一定の要件を設けた上でのオンラインによるモニタリングの導入等の見直しを行うこととしています。
98 グループホームについては調理員の人件費を介護報酬に算定すること。
認知症対応型共同生活介護では、認知症(急性を除く)の高齢者に対して、共同生活住居で、家庭的な環境と地域住民との交流の下、入浴・排せつ・食事等の介護などの日常生活上の世話と機能訓練を行い、能力に応じ自立した日常生活を営むことを目的としています。
そのため、人員配置基準上、調理員を求めておらず、介護報酬においても算定されておりません。
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介護報酬改定のパブリックコメントについては、令和3年が97件、平成30年が145件で、今回は1,190件ですから、近年では破格に多いということになります。
ただ、その前の平成27年は954件、24年は642件、21年は501件でしたから、直近2回が破格に少なかったというべきかもしれません。
今回多かったのは、訪問介護を始めとする訪問系サービスの「マイナス回答」に怒りを覚えた方が多かったことが大きな理由ではないでしょうか。
まあ、意見を多数送ったからといって国が見直してくれたりはしませんが・・・
ただ、抄6までに見られたように、疑問点について送れば、通知やQ&Aに載せてくれる可能性は十分にあると思います。