今回の改定案では訪問介護の基本報酬が減額になっていますが、「同一建物減算あり」の事業所の収支差率は9.9%と高い一方、「減算算定なし」の事業所では6.7%です。これは訪問看護など他の訪問系サービスとほぼ同レベルで、コロナ禍で、通所サービス等を利用できなかった感染者等が訪問系サービスに支えられた時期の、一時的な現象の可能性があります。
昨日、2月19日の読売新聞に、「能登を支える訪問介護」という記事が掲載されていました。1万3000棟を超える家屋被害が確認された七尾市で、高齢者約40人を支えている訪問介護事業所等についての特集です。
<以下、引用>
ヘルパーの加地さん自身も被災者だ。自宅の壁が崩れるなど大きな被害を受け、2週間ほど、市内の実家に夫と身を寄せた。自宅の片付けを続けながら、週5回、1日4~5件回っている。
寝たきり高齢者も担当し、「自分たちも大変だけれど、介護が必要な人を放っておくわけにはいかない」と決意を口にする。
同会(注:運営する社会福祉法人)では、断水の影響で(中略)デイサービス事業を休止していたため、訪問介護のニーズが高まったという。
同会の宮沢寛子さん(48)は「高齢者が自宅で過ごす時間が長くなりやすく、それを支えようとする家族が疲れているケースもある。ヘルパーの数が限られるなど厳しい状況だが、支援を続けていきたい」と話す。
<引用ここまで>
訪問介護は、能登半島地震のような大災害時でも、地域の高齢者を支える重要な役割を持っています。基本報酬減で事業者が撤退すると、いくら処遇改善加算等を増やしてもサービス自体はなくなります。また、訪問介護の多くの加算は基本報酬に連動しているため、処遇改善加算以外の所定単位数も減少し、結果として処遇改善加算も(国がアナウンスしているほどには)増えません。
地震は天災ですが、今回の報酬改定で能登から訪問介護事業所がなくなれば、それは人災です。訪問介護の基本報酬減については勇気をもって撤回すべきです。
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介護報酬改定案のパブリックコメントは明日(2/21)が期限ですが、追加で提出しました。
まあ、以前の提出分と似たようなことを書いていますが、読売新聞の記事を見かけたもので。
読売も会員限定とかケチせずに、一般公開したらよい記事だと思うのですが。