介護基準改正パブコメ結果4

6[3] ケアマネジャー1人当たりの取扱件数

33 取扱件数の増加は、ケアマネジメントの質の低下や業務負担の増加につながるため、現行の35人を維持すべき。担当件数を増やすことで事業所の収入は増えるかもしれないが、ケアマネジャーの収入が増えるとは限らず、求められる役割や負担が増えるばかり。件数の増加を求めるのであれば、人材確保のために業務負担の軽減や報酬の引き上げ等を行ってほしい。取扱件数を引き上げる場合には、「提供拒否の禁止」にかかる正当な理由「1.その事業所の現員からは申し込みに応じきれない場合」には「担当件数が一人44件まで達している」ことが含まれる旨を明確にしてもらいたい。

 今回の改正案は、居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化等を踏まえ、ケアマネジャー1人当たりの取扱件数を見直すものです。提供拒否の禁止についての取扱いは従前のものから変わるものではありませんが、介護支援専門員の業務負担の軽減については、今回の改正の影響等も踏まえ、引き続き検討してまいります。


34 要支援と要介護にかかる業務量に大きな差があるわけではないため、予防の件数を1/2から1/3へと変更するのは合理的でなく、ケアマネジャーの負担増につながってしまうほか、居宅介護支援事業所も負担が増えて予防プランの作成を今よりも敬遠するようになってしまう。要支援者への介護予防支援の受け手を増やすには、書類の簡素化と報酬単価の引き上げが必要。

 今回の改正案は、居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化や要支援者に係る利用者1人当たりの1ヶ月間の介護支援専門員の労働投入時間の変化を踏まえ、現行では要支援者の利用者数に2分の1を乗じているところ、3分の1を乗じることとしたものです。介護支援専門員の業務負担の軽減については、今回の改正の影響等も踏まえ、引き続き検討してまいります。


35 ケアプランデータ連携システムの活用を要件にすべきではない。同システムは有料なうえ利便性も悪く、他法人や他事業所が導入していないケースも多いため、他の民間システムや広く電磁的な手段(メールやチャットなど)を認めるなど、全事業所で対応ができるようにしてほしい。また、事務員の配置の要件について、特に一人ケアマネ事業所では配置すると採算が取れず困難であり、かえってシステムの導入が遠のくため、不要ではないか。

 今回の改正案は、ケアプランデータ連携システムの活用により、請求業務やケアプランの共有に係るサービス事業者との情報連携が効率化されることが期待されること、事務職員の配置を行っている事業所は、介護支援専門員の労働投入時間が短く、かつ、平均取扱件数が多いことを踏まえ、ケアプランデータ連携システムの活用及び事務職員の配置を行っている事業所において、介護支援専門員1人当たりの取扱件数を49件までとしたものです。取扱件数の基準を緩和する際の要件については、今回の改正の影響等も踏まえ、引き続き検討してまいります。


36 担当件数の引き上げには賛成。運営基準と報酬算定の整合性を確保した改定を行ってもらいたい。

 本案に賛成の御意見として承ります。


6[4] 介護予防支援の円滑な実施

37 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援事業者の指定を受ける時の人員配置について、指定介護予防支援事業者の介護支援専門員が指定居宅介護支援事業者の介護支援専門員を兼務することができる人員配置にしないと、既存の居宅介護支援事業所では介護予防専従の介護支援専門員の配置はできない(介護支援専門員不足、報酬等処遇の悪さ等のため)ことから、新たな指定を受けることが難しくなると想定される。介護予防支援事業所の管理者は、主任介護支援専門員の確保が著しく困難な場合は介護支援専門員を管理者にすることができる、とあるが、居宅介護支援事業所にもその人員基準を拡大し、運営基準を居宅介護支援と介護予防支援と同等のものとしてほしい。

 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援事業者の指定を受ける際の基準について、指定介護予防支援事業者が設置する介護支援専門員に兼務を禁止する規定を設ける予定はありません。また、指定居宅介護支援の基準においても、従前どおり、兼務を禁止する規定を設ける予定はありません。
 なお、指定居宅介護支援事業所の管理者は、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、従前より、一定の要件のもと、管理者を介護支援専門員とする取扱いを可能としています。


38 指定居宅介護支援事業者から市町村へ情報提供を行うことは、指定居宅介護支援事業者の業務負担に繋がる。行政による過度な干渉は控えるべき。また、指定居宅介護支援事業者からの情報提供だけでなく、各サービス事業所から保険者への情報提供による対応も考えられるのではないか。

 今回の改正案は、市町村において管内の要支援者の状況を適切に把握する観点から、居宅介護支援事業者が指定を受けて指定介護予防支援を行う場合には、市町村長に対し、介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することを義務づけることとしたものです。運用の詳細を検討するに当たっての御意見として承ります。


39 居宅介護支援事業所と地域包括支援センターとの連携について、地域包括支援センターによるケアプランの確認は必須ではなく、必要に応じてとしてほしい。市町村から指定を受けて介護予防支援を担う居宅介護支援事業者に対しては、地域包括支援センターからの介護予防支援の委託ができないようにしてほしい。

 地域包括支援センターが指定居宅介護支援事業者に委託して介護予防支援を行う場合、指定介護予防支援に係る責任主体は地域包括支援センターであることから、介護予防サービス計画の原案が利用者の心身の状況等を踏まえ適切に作成されているか、介護予防サービス計画に位置付けられたサービスの種類や内容が妥当か等について、地域包括支援センターにおいて確認を行うことが必要であると考えております。
 また、市町村から指定を受けて介護予防支援を担う居宅介護支援事業者に対して、地域包括支援センターからの介護予防支援の委託を制限する予定はございませんが、地域包括支援センターが指定居宅介護支援事業者に委託を行うに当たっては、受託者が適切かつ効率的に指定介護予防支援の業務を実施できるよう、委託する業務の範囲や業務量について配慮することとされております。

 

(つづく)