三重水素

中国「太平洋を下水道にした」 処理水放出に関するIAEA報告書に「遺憾の意」表明
テレビ朝日系(ANN) 7/4(火) 21:17配信

福島第一原発の処理水の放出について、IAEA国際原子力機関が「安全基準に合致する」と報告したことに対し、中国は「遺憾の意」を表明したうえで、日本に対して「太平洋を下水道にした」と批判しました。

 中国外務省は声明で「IAEAの報告書はすべての専門家の意見を充分に反映しておらず、性急な報告を遺憾に思う」と発表しました。

 日本については「経済的なコストを考慮して、国際社会の反対を無視し、太平洋を下水道にすると決定した。12年前の原発事故で世界から支援を受けたが、12年後に核汚染のリスクを全人類に転嫁した」と批判しています。

 そのうえで、処理水の海洋放出の計画を中止し、近隣諸国を含む国際監視のメカニズムを作るよう求めています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/47ba1ed6d6a1242f8c1b21632be5bd3988cedf7a

 


実は「トリチウム」というからイメージがわかなかった。
三重水素という言葉なら(昔、ちょっと勉強したような)なじみがあります。

とはいっても、以下は個人的なイメージなので、もっと正確な説明をしているサイトがあれば、そちらを信用してください。

 

一般的な水素は、陽子が1個、電子が1個という簡単な構造です。
これに原子核中性子が1個加わったのが、重水素(これに対して、一般的な水素を軽水素と呼ぶことがあります)。
重水素は軽水素よりも重く、また、まれな存在ですが、水素自体がメチャクチャに多い元素なので、地球全体では豊富にあるともいえます。
なお、軽水素、重水素、それに三重水素は、質量が違うだけで化学的性質が同じといってよく、分離することは困難です。

 


軽水素と重水素原子核は安定していますが、重水素よりも中性子が1個多い三重水素トリチウム)は不安定で、中性子が電子を吐き出し、陽子になろうとする傾向があります。
三重水素原子核中性子のうち1個が電子を吐き出すと、ヘリウム3というヘリウムの一種になります。

 


このとき、吐き出された電子がベータ線β線)と呼ばれる放射線です。
ただし、ガンマ線γ線)よりは透過力が弱いです。
また、三重水素自体が自然界に存在する(軽水素や重水素よりもまれですが)ものなので、三重水素を含んだ水でも十分に希釈すれば海洋に放出しても問題はない、という考え方も理屈には合っていると私は思います。
三重水素についての理屈の話なので、たとえば風評被害とか、あるいは三重水素以外の放射性物質が本当に取り除けるのか、ということについては、ここでは論じていません。)

 

さて、「ALPS処理水に関する基本方針の決定について」(令和3年5月 廃炉・汚染水・処理水対策チーム事務局)より
https://www.pref.miyagi.jp/documents/38660/851205_1.pdf

この中に、日本の近くの原発トリチウム排出量を示した図があります。

 

 

図では小さすぎるので出典を。

平成25年度原子力施設運転管理年報(原子力安全基盤機構)
下期放射線管理等報告書(原子力規制庁
原子力発電所環境放射線調査と評価報告書(韓国水力・原子力発電会社)
中国核能年鑑(中国核能行業協会)
第一~第三原発108年放射性物質排放年報(台湾電力)

 

図で、赤(暖流)と青(寒流)の海流だけは私が追記しました。
普通に考えれば、福島県付近で放出された液体は、親潮黒潮か、とにかく東に向かう北赤道海流あたりに乗って、北米方面に流れていくと思われます。中国や韓国の逆方向ですし、ぐるっと回ってたどり着くとしても、かなり先のことでしょう。

逆に、中国や韓国の、おそらく福島第一原発で放出が予定されている量よりも多くの量のトリチウムを排出している原発については、日本列島を含めた東アジア近辺を漂う可能性がかなり高いと思われます。

 

水産業関係の方々が風評被害について心配されるのはよくわかります。
(まあ、私は水産物に限らず、福島産の食材の方が中国産よりもずっと安心して食べられると思いますが、感じ方は人それぞれですから。)
ですが、中国が怪しげな主張をするのはね。中国の原発も、IAEAに調査してもらったらいかがでしょうか、習近平くん。
韓国の野党系の諸君も、中国に向かっても発言しようね。