日本がロシアに喧嘩を売ったのではない

鈴木宗男氏の9月7日付けブログより
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 5日ロシア政府は、1991年4月ゴルバチョフ大統領が来日した際、提案され1992年2月12日、日露で合意したビザなし交流(日本人と四島に住むロシア人がパスポート旅券、ビザ査証をなしで相互訪問する仕組み)と自由訪問を破棄する政令を出した。
(中略)
 松野官房長官は昨日午前の記者会見で「極めて不当であり、断じて受け入れられない」と述べているが、ウクライナ問題で日本は欧米の言いなりになり、経済制裁、人的制裁をした。ロシアに対し先に喧嘩を売ったのは日本<注1>で、そのことに対するロシアの対抗措置であり日本側が「極めて不当」というのは一方的な頭作りであり日露関係の改善にはならない。先を見据えた賢い外交をしてほしいものだ。

 日本が欧米G7と一緒になって制裁に加担することで生じた問題であることを冷静に考えるべきではないか。

 ロシアが侵攻した、先に手を出したと欧米諸国は批判するが、その元を作ったのは昨年10月23日、自爆ドローン<注2>を親ロシア地域に飛ばし、今年2月19日はミュンヘンにおける欧州安保会議でゼレンスキー大統領がブダペスト覚書き<注3>の見直しを求めたことがロシアを刺激し、今日こんにちに至っているという事実をしっかり認識しなければならない。
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<注1>「ロシアに対し先に喧嘩を売ったのは日本」
 ロシアは、日本も加盟している国連の常任理事国でありながら、加盟国のウクライナに対して、国連憲章に反して不当に侵略しています。戦争犯罪も多数犯しています。他の国連加盟国と協調して非軍事的制裁を行うのは、独立国としての日本の正当な行為です。「欧米の言いなり」ではなく、主権国家として決定しています(「ロシアの言いなり」の日本維新の会所属の某参議院議員とは違います)。その制裁は、国連憲章違反のロシアに、正道に戻ることを目的とするものですから、本来、ロシアのための行為であり、正気を失ったロシア指導者はともかく、日本国民の税金で議員をやっている鈴木氏が「先に喧嘩を売った」などと発言するのは、それこそ極めて不当です。

 

<注2>「自爆ドローン」
 ウクライナが導入したトルコ製無人航空機「バイラクタルTB2」は自爆ドローンではありません。当初は偵察用に、のちには攻撃用にも使用したようですが、偵察等により「親露派」側の不当行為が発見された可能性は否定できません。また、この問題の根本的な原因をつくったのは明らかにロシアです。2014年に、ロシア系住民の保護などを理由として、クリミア半島ウクライナ東部を軍事占領したことが最初です。なお、ミンスク合意(ミンスク議定書、ミンスク2など)については、双方に違反、抵触などの行為があったと考えるのが妥当でしょう。そもそも、自国民系(この場合は親露派)の集団とその国の中央政府(この場合はウクライナ政府)との対立があった場合に、隣国(この場合はロシア)が国境を越えて侵略してよい、という理屈は、国連憲章で認められていません。

 

<注3>ブダペスト覚書き
 一般的なの日本語では「ブダペスト覚書」と書きます。1994年のOSCE(欧州安全保障協力機構)会議で、米英露が署名した覚書です。核兵器を手放す(ロシアの管理下に移す)ウクライナベラルーシカザフスタンについて、米英露が安全を保障する、という内容です。この覚書に実効性がなく、ロシア(親露派という傀儡勢力を含む)がウクライナの一部を占領する事態になっているので、その見直しを求めたというのは、ウクライナ側から見れば正当な主張です。そもそも会議による言論を「ロシアを刺激した」として批判するのは、およそ日本のような民主主義国の政治家としては、ふさわしくありません。鈴木氏流にいえば、「鈴木氏のような発言は、日本国の主権者たる日本国民を刺激するので、すぐ辞職してください」というようなものです。

 


<おまけ>
ウクライナ軍のロケット弾が奇跡的に180度回転」…露側専門家がIAEA調査団に釈明
読売新聞 2022/09/04 18:33

 ロシア軍が占拠するザポリージャ原発での国際原子力機関IAEA)の調査では、露軍占領地域から発射されたとみられるロケット弾の残骸に関し、露側専門家が「ウクライナ軍のロケット弾が奇跡的に180度回転した」と調査団に強弁する動画が拡散している。ロシアはウクライナ軍が原発を攻撃しているとの主張を浸透させようと躍起になっている。

 動画では、メディアを引き連れて調査団を案内した露国営原子力企業ロスアトム幹部が1日、ロケット弾の着弾角度に疑問を持ったIAEAの調査団に釈明している。ロシア通信も画像を配信し、ウクライナのロケット弾だと強調した。

 ウクライナの内務相顧問は2日、自身のSNSに動画を投稿し「これがロシアのやり方だ」と皮肉った。米政策研究機関「戦争研究所」は、ロシアが調査団の訪問に合わせ、原発に脅威を与えているのはウクライナ軍だと印象づける取り組みを加速させるだろうと指摘している。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20220904-OYT1T50030/

 

 

こんなお笑い釈明をするロシア側を援護にするのは、人間として恥ずかしくないですか、鈴木宗男くん。