日本女子カーリング略史2

<黎明期>

 日本カーリング協会や東京都カーリング協会などのウェブサイト上の資料を参考に、日本選手権が始まる頃までの歴史について簡単にまとめてみた。

 

カーリングは、15世紀~16世紀にスコットランドもしくは北欧の国で始まったと言われている。
・特にカナダに移り住んだ人たちが盛んにプレーするようになり、カナダでは国民的スポーツとなっていて、現在の公式ルールは主にカナダで確立したものとされている。
・1936年冬季オリンピック(ドイツ:ガルミッシュ・パルテンキルヘン大会)に参加した選手団が、日本にストーンを持ち帰り、長野県の諏訪湖でデモンストレーションを行った。
・1970年代後半に、再び北海道で新たに開始された。
・1980年1月に、元世界チャンピオンのウォーリー・ウースリアック氏がカナダから来日し、北海道内各地で講習会が行われた。その後、各市町で協会が誕生し、翌年には北海道協会が設立された。
・1988年に国内初となるカーリング専用ホールが北海道・常呂町に建設された。同年、日本選手権の女子の部が初開催。

 日本選手権は1984年から2月から3月頃にかけて開催されているが、当初は男子のみだった。女子は1988年からで、日本初のオリンピックメダル獲得(2018年平昌五輪)の30年前にあたる。

 

1988.2 日本選手権
 優勝:ビッグボナンザ(北海道池田町)朝川さよ、朝川篤子、原節子、鴨川恵子、松浦正子
 2位:東光舗道レディース(北海道帯広市) 3位:青森カーリングクラブ(青森県

1989.3 日本選手権
 優勝:河西建設女子(北海道北見市)工藤みのり、館崎香、伊藤悦子、阿部真由美、金子真由美
 2位:パーソンズ(北海道常呂町) 3位:ビッグボナンザ(北海道池田町)

1990.2 日本選手権
 優勝:シルバーメイト(北海道常呂町林美佐子、兼田悦子、大友公子、藤沢孝
 2位:東京レディース(東京都) 3位:河西建設女子(北海道北見市

 

 この時期から、常呂町北見市帯広市、池田町など、北海道のチームが強かった。なお、この頃は常呂町北見市は別自治体で、2006年に周辺自治体とともに合併して新「北見市」となる。
 企業チームで強かったのは、東光舗道と河西建設。2社は関連会社で、ときに選手が相互に行き来していた。もっとも、関連会社等でなくても、他チームから応援メンバーが入ることは、カーリングでは珍しくない(特に海外の大会でのリザーブ)。
 東光舗道や河西建設には、のちにアルベールビル五輪(1992年。公開競技としてカーリングを実施)に出場することになる松崎宴、瀬口真由美、工藤みのり、阿部真由美の名前が見られる。また、パーソンズには、長野五輪(1998年。正式競技としてカーリング実施)に出場することになる三村容子や、選抜された日本代表チームで活躍する石垣綾子が所属していた。


1990.4 世界選手権 優勝:ノルウェー 2位:スコットランド 3位:カナダ
 日本10位(1-8)北見CC(河西建設女子)工藤みのり、館崎香、伊藤悦子、阿部真由美、瀬口真由美

 

 1990年は世界選手権に日本女子代表が初参加。なお、日本男子代表の初参加は2000年。
 1990年の世界選手権は、前年(1989)の日本選手権に優勝した河西建設が出場し、予選リーグ1勝8敗で10チーム中10位だった。なお、世界カーリング連盟のウェブサイトでは「Kitami CC」(北見CC)というチーム名表記になっている。

 

(敬称略・つづく)