竹中平蔵氏の主張に対して

五輪支持の竹中平蔵パソナ会長「スペイン風邪でもやった」発言に自民党が大迷惑「援護射撃になっていない」〈dot.〉
AERA dot. 6/10(木) 13:35配信

 東京五輪開催を支持する慶応大学名誉教授でパソナ会長の竹中平蔵氏が9日、自身のYouTubeチャンネルを更新。「竹中平蔵東京五輪】開催すべき理由を徹底解説」というタイトルで語った。

 竹中氏は動画の冒頭で、「私はオリンピック・パラリンピックを是非きちっと開催してほしい」と主張。1つ目の理由として、「オリンピック・パラリンピックは国内イベントではないということです。世界のイベントなんです。従って本来ならば日本の国内事情でこの世界的なイベントを止めるというのは、やはりこれはあってはいけないことだと思います。日本としては国際的な責任を果たすために国内事情をしっかりとコントロールしながら実行に移す責任がある。それが実は日本で開催されるオリンピック・パラリンピックの本質的な問題だという風に思うんです」と語った。

 そして、2つめの理由として、新型コロナウイルスの流行が五輪を中止する根拠になりえないことを主張した。竹中氏は過去にオリンピック・パラリンピックを中止した事例として第一次世界大戦第二次世界大戦の時を引用。「世界大戦の時はさすがに世界が真っ二つに割れているわけですから。これは国内事情ではなくて世界の事情でできないから止めているわけです」と五輪の開催中止が正当であることを強調した。そして、今回の東京五輪の状況に類似した1920年アントワープオリンピックを取り上げ、「1918年から数年間、世界はスペイン風邪というパンデミックに襲われました。しかしこのパンデミックの中でベルギーのアントワープでの五輪はきちっとやられました。パンデミックだからやめたということではなかったわけです」と説明した。

 3つ目の理由がワクチンだ。「この数か月の間にコロナ問題に対する世界の認識は大幅に変わったということです。日本では依然として人流を抑えるためにどうこうという話をしていますけど私の認識ではイギリスやアメリカでは、もうそんな議論はしておりません」とワクチンの接種率が高い諸外国はコロナの感染が収束していることを説明。「今やるべきことはワクチンを普及させること、そして国際的責任を果たすために日本は今このオリンピック・パラリンピックを万全の対策を講じながらきっちりとやり抜くこと」と持論を展開した。
(中略)
 今回の動画の内容についても、コメント欄では「コロナの感染は世界の問題であって、日本の国内事情ではありません。オリンピックを開催する責任??国外からの流入はもちろんですが、日本から世界に拡散させる可能性についてはどうなんでしょうか?日本株なんて世界に言われたらどう責任とるんでしょう?ヨーロッパでのスペイン風邪感染は1920年には収束しつつある状況にあったので開催される要因の1つになったと思われます。参加国29カ国を見ても、欧米が3分の2近くを占めています。つまりスペイン風邪はほとんど影響がなかったと思います。東京オリンピックの参加予定の国・地域は200カ国。はっきり言わせていただきまして比較にならない。その200カ国の中には、感染が収まらない国・地域が多いのが現状」など竹中氏の主張に異を唱える意見が目立つ。

 自民党の関係者は渋い表情を浮かべる。

「竹中さんは先日の『世論は間違っている』発言で、国民にケンカを売ったように映ってしまった。今回の五輪支持の訴えも、火に油を注ぐ形になっている。参加者、参加国の規模が全く違う100年前の五輪でスペイン風邪の時に開催したことを持ち出すのは無理があるし、五輪開催に突き進む政府の援護射撃になっていません。竹中さんが会長を務めるパソナが五輪スポンサー企業であることも、政府と距離が近いという印象を与えて心証が悪い。五輪の開催を望むなら『おとなしくしてくれ』というのが政府の本音だと思います」
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/68d1df254b9fd73d16ba46c6b7b6a878255a474e?page=1

 


竹中氏の「開催すべき3つの理由」に対しては、「コメント欄では・・・」以下に多数反論が書かれていますが、少しつけくわえておきます。

 

まず、アントワープ五輪との比較について。

1)1920年アントワープ五輪の頃の感染症やウイルスに関する知識は、現在よりもはるかに劣っていたスペイン風邪がA型インフルエンザの一種であることが判明したのは、ずっと後の時代になってから)。
2)1920年当時の(特に一般庶民の生命に対しての)人権意識は、現在と同じ水準ではなかった。
以上、1と2により、アントワープ五輪については、現在のベルギー政府なら行わなかったか、無観客開催のような方法を取った可能性があります。

なお、当時のベルギー政府やIOCの開催決定を批判するつもりはありません。
人類は全知全能にはほど遠く、そのときの状況で、そのときの知識で、開催の可否を判断するしかありませんから。

 

次に、ワクチンについて。
米国や西欧系の製品については、かなりの効果があることがわかっていますが、中国系については、接種率が高いチリでの感染が拡大したように、効果に疑問があります。

 

そもそも、東京都がオリンピック・パラリンピックの開催に手を挙げたときは、このようなパンデミックな状況は、日本もIOCも想定していなかったはずで、開催するという約束は前提が崩れた、という見方も可能でしょう(だから、当然のように開催辞退ができるという意味ではなく、「当事者で誠意をもって協議」というのが、契約の一般的なルールではないかと思いますが)。

 

ちなみに、現時点では、「無観客開催」ぐらいが妥当なところかなあ、と私は考えていますが、もしも「有観客開催」でなくなったことにより、竹中氏が会長をやっているパソナグループで損害が出るのなら、その請求先は日本国政府でも東京都でも組織委でもIOCでもなく、初期に武漢で発せられた医師の警告を黙殺した中華人民共和国政府か中国共産党になるのではないかと思います。

 

それにしても、この程度の人物が、経済学者やら政権のブレーンやら閣僚やらを歴任していたのですね。