「2000万円不足」の根拠

さて、前記事で触れた、金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書で話題になっている、
月5万円の赤字、30年で約2000万円の不足というのは、次の部分です。

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(出典)として、「第21回市場ワーキング・グループ 厚生労働省資料」と書かれていますね。
これを探してみます。

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「麻生大臣にとって気に入らない資料」を作ったのは厚生労働省かと思ったら、
(出所)として、総務省「家計調査」(2017年)と書いてありました。
それでは、この資料を探してみます。

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ありました。
たしかに、不足分54,519円とあります。
1年では、54,519円×12か月=654,228円の不足となりますから、  
20年で、13,084,560円(だいたい1300万円)
30年で、19,626,840円(だいたい2000万円)不足する、という計算は成り立ちます。

たとえば、住居費は環境、地域等によって差があるでしょうし、食料費なども工夫の余地がないことはないので、
この数字を高齢者全員が覚悟しなければならないのか、というと、いろいろ意見があるだろうとは思います。

ただ、総務省が調査を行い、厚生労働省も活用したこの資料を基にして、
金融庁の審議会ワーキンググループが提出した報告書に対して、
麻生氏や萩生田氏のような批判を行うのは、やはりおかしい。

もし、この月5万いくら、30年で約2000万円という不足額について批判するのなら、
金融庁やその審議会等に対してでなく、総務省やその調査に対して行うべきでした。
(私には、それほど批判されるべき調査とは思えませんが。)

それにしても、この程度の理屈さえ理解できないような大臣は、財務大臣にも金融担当大臣にも向かないとしか思えないのですが。