介護保険法施行規則改正パブコメ結果1

10月22日に「介護保険法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(介護保険最新情報Vol.885)が出ましたが、その改正案についてのパブリックコメントの結果も発表されました。

(ちなみに、こんなパブコメ募集でした。)
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2020/09/21/115338

 


介護保険法施行規則の一部を改正する省令案(概要)」に対して寄せられた御意見について

令和2年10月22日
厚生労働省老健認知症施策・地域介護推進課/老人保健課

 標記につきましては、令和2年8月25日から令和2年9月23日までインターネットのホームページを通じて御意見を募集したところ、1,141件の御意見をいただきました。お寄せいただいた御質問と御意見に対する考え方は別紙のとおりです。
 御意見については、適宜要約等の上、取りまとめており、パブリックコメントの対象となる案件についての御意見に対する考え方のみを公表させていただいておりますので御了承ください。
 また、今回のパブリックコメントを踏まえた介護保険法施行規則の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第176号)の概要は以下のとおりです。
 御意見をお寄せいただきました方の御協力に厚く御礼申し上げますとともに、今後とも厚生労働行政の推進に御協力賜りますようお願い申し上げます。

【概要】(略)

 

別紙

(1)[1] 第1号事業の対象者の弾力化

 介護者が、介護給付を受けられなくなることに反対。要介護者には、自治体によって取組状況も異なる総合事業ではなく、専門職による介護給付のサービスが必要。

 軽度者への生活援助サービスを総合事業へ移行することに反対。

 今回の見直しは、要介護者に対する介護給付を総合事業に移行するための布石ではないか。

 今般の見直しにより、要介護者の介護給付を受ける権利には、何ら変更はございません。今般の見直しは、第1号事業における補助により実施されるサービス(以下「住民主体のサービス」といいます。)を継続的に利用することを希望する要介護者(以下「継続利用要介護者」といいます。)について、本人の希望を踏まえて、介護保険の給付が受けられることを前提としつつ、住民主体のサービスを継続して利用できるようにし、選択肢の幅を広げるものです。


 「本人の希望」をどのように担保するのか。市町村が介護給付抑制のために総合事業に誘導するのではないか。

 「本人の希望」を優先した結果、安価な総合事業のサービスを利用することになるのではないか。

 継続利用要介護者の住民主体のサービス利用は、ケアマネジャーが本人の希望を踏まえながら、介護給付と住民主体のサービスを組み合わせたケアプランの作成などのケアマネジメントを通じて、適切な事業の利用が確保されることが重要と考えています。
 さらに、適切なケアマネジメントが行われるよう支援していく観点から、ガイドラインで示していくとともに、厚生労働省においてサービスの利用状況などを定期的に把握してまいります。


 要介護5まで弾力化の対象とするのはおかしいのではないか。

 本人の気持ちが健康にとって大切な要素なので介護度でサービスの選択をするのではなくて、利用者のニーズに合わせてサービスを選択する方がよい。

 継続利用要介護者の住民主体のサービス利用は、ケアマネジメントを通じ、本人の希望を踏まえて、当該サービスを継続的に利用することが適切である場合にサービス提供が行われるものであり、その必要性は個別に判断されるものであるため、介護度で限定することとはしておりません。


 重大な見直しであるため、省令改正で行うべきではない。国会で議論すべき。

 今般の見直しは、介護保険法の委任に基づき、介護保険法施行規則の改正により行うものです。


 見直しを行う前に、まずは、これまでの総合事業の実態を把握すべき。要支援者の総合事業への移行も失敗しているのではないか。

 現状でも総合事業は担い手不足や廃業等により十分なサービスが提供できていない中で、要介護者も対象とすることは適切ではないのではないか。

 総合事業の実施状況については、毎年度、老人保健健康増進等補助金による調査研究事業により把握し、公表しています。
 引き続き、総合事業の実態把握に努めるとともに、総合事業に関する市町村の取組への支援に取り組んでまいります。


 総合事業が要介護者を受け入れないことで不満という話を聞いたことがなく、地域とのつながりに影響があるとも考えられない。改正の趣旨が明らかではないので、根拠をしっかり示してほしい。

 社会保障審議会介護保険部会において、一定数の市町村が、総合事業の対象者について、「対象者が要支援者等に限られてしまっていることで、事業が実施しにくい」と回答している調査結果等をお示ししています。
 これらを踏まえ、社会保障審議会介護保険部会の議論の取りまとめ(令和元年12月27日)において、「現在、総合事業の対象者が要支援者等に限定されており、要介護認定を受けると、それまで受けていた総合事業のサービスの利用が継続できなくなる点について、本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続することを可能とする観点から、介護保険の給付が受けられることを前提としつつ、弾力化を行うことが重要」とされています。
 今般の見直しは、こうした社会保障審議会介護保険部会の取りまとめを踏まえ、行うものです。


 本人の気持ちが健康にとって大切な要素なので介護度でサービスの選択をするのではなくて、利用者のニーズに合わせてサービスを選択する方がよい。

 今般の見直しについても、継続利用要介護者は、ケアマネジメントを通じて、介護度のみならず、本人の希望も踏まえて、継続的に利用することが適切と判断された場合に、住民主体のサービスを利用できることとしています。

 

(つづく)