三位決定戦の英国最終投

わかりにくい記事タイトルですが、平昌オリンピック女子カーリングの三位決定戦のことです。
 
はい、いまだにオリンピックぼけしています(きっぱり)
 
でも、世間では、まだ現役アスリートであるフィギュアスケートトップ選手になんとか栄誉賞の授与を検討したり、ロコ・ソラーレのみなさんに歌手デビューをさせようとする動きの記事まであったりする困った世の中です。
 
歌手デビューはともかく、羽生選手の国民栄誉賞については、その価値がないというつもりではありません。
ただ、かれら現役アスリートが欲しているのは、たぶん練習環境や遠征時(五輪や世界選手権だけでなく練習試合等も含めて)の資金面等の手当の方ではないかと思います。
だからこそ、小平選手のオランダ留学をも支援した相澤病院を評価したいのですが・・・
 
話を戻して、カーリングについて言えば、そだねー、とか、おやつ(もぐもぐ)タイムだけでなく、ゲームとしてのおもしろさに、素人なりに触れてみたいと思っています。
 
下図は、日4:英3で迎えた第10エンド、日本のスキップ・藤澤選手の最終投です。
 

 
上方向から来た黄色(日本)のストーンは、赤色(英国)のナンバー1ストーン(中心から見て10時方向)よりも中心に近い位置に置きたかったのですが、わずかに手前の黄色(12時方向)に接触してしまい、ナンバー1は英国が保持したままとなりました。思ったよりよく曲がった(画面上の左方向に)のではないか、という感じがします。
 
このままでも英国が1点は獲得し、4:4の同点で延長(エクストラエンド)に入るのですが、その場合は点を取った英国が不利な先行になるので、英国は2点(以上)を狙ってきました。
 

 
このときの英国の狙いは、ネット上(日本の)でも諸説あり、私には正確なところはわかりません。
 
赤の矢印で黄色の側面に薄く当てると黄色は画面上の左方向に弾かれますが、投げた赤も、おそらくは右下方向に消えていきます。ナンバー1が赤、ナンバー2が黄(9時方向)で、英国は1点しか取れません。
 
黒の矢印のように厚く(正面近くから)当てると、黄は下方向に弾かれますが、投げた赤は中心方向には進入できず、やはり赤はナンバー1を確保するだけではないかと思います。
 
実戦で、英国のスキップ・ミュアヘッド選手が意図したのは、上手の黒の矢印と赤の矢印の間のどこかの角度、だろうと思います。
 

 
投げた赤に当てられた12時方向の黄は10時方向の赤を動かし、それが9時方向の黄色を弾き飛ばしましたが、10時方向の赤も中心から遠ざかってしまいました。
一方、12時方向にあった黄は、10時方向の赤に当たった後はそれほど動かず、中心近くの4時方向にとどまりました。
 

 
この4時方向の黄色のストーンがナンバー1になったのを見た瞬間ぐらいに、すぐに英国選手が日本選手に握手を求めてきた(負けを認めた)のは当然のこととはいえ凄いと思います。
 
それにしても、英国の最終投は難しかった。
ミュアヘッド選手のミス、と断定するのもどうでしょうか。
素人なりにあえていえば、英国のナンバー1ストーンよりさらに内側にドローショットを投げ込む選択がどうか、ぐらいでしょうか。それなら、失敗したとしても10時方向の赤のナンバー1ストーンは残るから、最悪エクストラエンドには持ち込めますが、敵味方のストーンがコースを妨害しているので、相当に曲げてこないと無理でしょう。
 
世間で思われている(たぶん)よりも藤澤選手の最終投はミスではなく、さらにその前の第9エンドで1点スチール(不利な先行での得点)したのを含め、実は日本が強かった、というゲームのように思えてきました。