障害者総合支援法のH30.4改正(1)

介護保険障害福祉サービス等も報酬改定に目が行きがちですが、平成30年4月には障害者総合支援法がけっこう改正されます。
< >内が追加または修正箇所です。


第五条 この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援<、就労定着支援、自立生活援助>及び共同生活援助をいい(略)

障害福祉サービスに「就労定着支援」「自立生活援助」が追加されます。


3 この法律において「重度訪問介護」とは、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるものにつき、居宅<又はこれに相当する場所として厚生労働省令で定める場所>における入浴、排せつ又は食事の介護その他の厚生労働省令で定める便宜及び外出時における移動中の介護を総合的に供与することをいう。

厚生労働省で定める場所」というのは、省令(おそらく施行規則)がまだ改正されていないと思いますが、入院先(医療機関)を指すようです。


<15 この法律において「就労定着支援」とは、就労に向けた支援として厚生労働省令で定めるものを受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な当該事業所の事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関その他の者との連絡調整その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

16 この法律において「自立生活援助」とは、施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者その他の厚生労働省令で定める障害者が居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題につき、厚生労働省令で定める期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める援助を行うことをいう。>

第1項で追加された新サービスについての定義です。
就労定着支援は、現在の就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)と同様、就労系サービスですが、実際の就労機会や訓練を提供するのではなく連絡調整等のサービスのようです。
自立生活援助は、入所施設やグループホームから地域生活(在宅)に移行する利用者への相談・助言等のサービスのようです。


<(指定事務受託法人)
第十一条の二 市町村及び都道府県は、次に掲げる事務の一部を、法人であって厚生労働省令で定める要件に該当し、当該事務を適正に実施することができると認められるものとして都道府県知事が指定するもの(以下「指定事務受託法人」という。)に委託することができる。
 一 第九条第一項、第十条第一項並びに前条第一項及び第二項に規定する事務(これらの規定による命令及び質問の対象となる者並びに立入検査の対象となる事業所及び施設の選定に係るもの並びに当該命令及び当該立入検査を除く。)
 二 その他厚生労働省令で定める事務(前号括弧書に規定するものを除く。)
2 指定事務受託法人の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、当該委託事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
3 指定事務受託法人の役員又は職員で、当該委託事務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
4 市町村又は都道府県は、第一項の規定により事務を委託したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
5 第九条第二項の規定は、第一項の規定により委託を受けて行う同条第一項、第十条第一項並びに前条第一項及び第二項の規定による質問について準用する。
6 前各項に定めるもののほか、指定事務受託法人に関し必要な事項は、政令で定める。>

新設の条文です。
市町村や都道府県、国は、自立支援給付について必要があるときは、障害者(児)やその家族、サービス事業者等の関係者に質問や調査を行う権限がありますが、その事務の一部を「指定事務受託法人」に委託することができるようになります。なお、対象の選定や、立入検査等については委託できません。


(申請)
第二十条 支給決定を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に申請をしなければならない。
2 市町村は、前項の申請があったときは(略)支給要否決定を行うため(略)調査をさせるものとする。この場合において、市町村は、当該調査を(略)指定一般相談支援事業者その他の厚生労働省令で定める者(略)に委託することができる。
4 第二項後段の規定により委託を受けた指定一般相談支援事業者等の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。<第百九条第一項を除き、>以下同じ。)若しくは前項の厚生労働省令で定める者又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、当該委託業務に関して知り得た個人の秘密を漏らしてはならない。

<第百九条第一項>というのは、守秘義務違反について定めた罰則のことで、市町村審査会、都道府県審査会、不服審査会に加え、連合会(国保連)の役職員についても今回の改正で追加されています。これらについては、「名称が何であれ、法人に対し役員と同等以上の支配力を有する者」という規定は適用されない、ということです。

(つづく)