事業者団体ヒア・質疑5

○田部井委員(認知症の人と家族の会理事)
 ヘルパーさんの2団体につきましては、基準の問題とか報酬の切り下げについて危惧されているとか、懸念を抱いているとか、非常にマイルドな表現であれされていて、私ども利用者は、認知症の人が月100回利用しているといっても、それは1日3回にすぎなくて、認知症の人がひとり暮らしで家で暮らしていくには当然必要なサービスだということであれして財務省の資料などにまことに残念な思いをしてあれしたのですが、結果的にはそれはほとんど必要に応じて利用されているということで、絶対反対であるという声でもよかったのではないかと思うのですが、先ほどのお答えの中で切り下げるべきではないとはっきり言っていただきましたので、それはそれでありがたいと思います。
 それから、お二方に伺いたいのですけれども、訪問、要支援1、2の人のあれが総合事業に移りましたが、そのことによって利用者の方に何か影響が出ているとか、そういう話がありましたら教えていただければと思います。

 グループホームの河崎会長さんに対してですが、グループホームというのはある意味究極の入居型の形ではないかと考えて、そういう点では認識が共通だと思うのですけれども、最近の動きでは、認知症グループホームが私どもが期待しているような位置づけで尊重されているか、あるいは認知症デイが認知症に特化したデイとして機能していくということが重要なことだと認識されているかということについて、何か陰りがあるような気がしているのですけれども、そういう認識を協会のほうとしてお持ちでいらっしゃるかどうかお伺いしたい。
 2割負担が導入されたことで利用者の方に影響が出ているということがありましたら、教えていただきたいと思います。

○青木意見陳述人
 危惧している面というところですが、生活援助のみを必要とする利用者像というのは、主に掃除、調理、配膳、洗濯や買い物、薬の受け取りなどに支障がある。しかし、屋内移動とか排せつ、入浴などはまだ自分でできるというイメージの方です。
 そういう利用者の生活援助をしていく場合には、単なる機械的な家事代行をするわけではありません。重度化防止の視点と知識、アセスメント、コミュニケーション技術などが必要であり、一定の研修が必須です。少子高齢化の急速な流れの中で人材確保の観点からの提案であることは理解できますが、誰にでもできる仕事ではないと。きちんと資格を取っても利用者と向き合って利用者の生活を再建していくという仕事は、単に誰にでもできる仕事ではないということ、ここのところを評価していただきたいなと思います。

○神谷意見陳述人
 では、総合事業のところの要支援1、2の利用者さんへの影響というところですけれども、その事業に移行していく中で、なかなか緩和のサービスを受けていられない状況でございます。緩和のサービスを受ける事業所そのものが少ないというところで、社会福祉協議会のヘルパー事業所のほうに全てが流れていってしまっているというところですが、では、社会福祉協議会のヘルパー事業所が全て緩和をやっているかというと、そうでもなく、やはり人がいない、人材不足というところで緩和の事業を受けるというところはなかなかできていません。そのところで市町村の理解がかなり乏しいと思います。緩和のサービスが受けられなければ安易に現行相当のサービスを使えばいいというところの視点があるので、利用者難民というところは、実際のところはそれほど出ていないかもしれないのですけれども、選べるサービスではない。利用者にとっては、緩和のサービスが始まったけれども、現行相当のサービスしか使えていないという状況があります。
 では、現行相当と緩和のところで何が違うのかというところになると、少しだけお手伝いが必要であれば緩和のサービスで十分だと思います。そこにはケアプランがあって、個別の支援計画があるかと思うのですが、ケアマネジャーや包括の職員さんたちの理解も薄いというところで、福祉用具を使っているから現行相当だよねというような、そういう線を出されると、こちらとしては緩和のサービスでもいい、少しだけお手伝いすればいいという観点がどうしても崩されていくというところがあります。
 利用者は、自分が要支援1、2というところと事業対象者という位置づけというところまでなかなか理解ができていないというところが現状だと思います。

○河崎意見陳述人
 我々は2点いただきました。認知症の方がどういうふうに陰りがあるかどうかという質問なのですけれども、陰りがないようにするために我々は頑張っておるのでございますけれども、認デイとか共用デイということをすることによりまして、地域住民の皆様のために、認知症になったらグループホームにお任せくださいということで、広く広く浸透していくことが陰りがないようにするための大きな努力だと思っております。
 2点目、2割負担はいかがかということでございますが、これは影響大でございます。と申しますのは、我々にとって、認知症の最後のとりでと自負を持って我々は努力しておるのでございますけれども、何せ補足給付がないということで、泣く泣く出ざるを得ないという入居者の方も多うございます中で、2割負担ということは、やはりそれに拍車をかけるものかなと今のところ考えておる次第でございます。

<田部井委員の「あれ」が多くてわかりにくいかもしれませんが、逆によくわかるという気もします(笑) 「軽度者」排除方向の国の動きにはほぼ一貫して反対あるいは危惧の声を上げていた団体なので。今回は、総合事業や2割負担の影響についても関心が及んでいます。>

(つづく)