事業者団体ヒア・質疑1

○田中分科会長
 では、ただいま発表がありました団体の皆様方の説明に対し御質問がありましたらお願いいたします。鈴木委員、どうぞ。

<ここからは、分科会委員と事業者団体とのやりとりがわかりやすいように発言の順番を変えています。>

○鈴木委員(公益社団法人日本医師会常任理事)
 最初の24時間在宅ケア研究会、冨永参考人に伺います。定期巡回・随時対応サービスへの対応が中心だということであり、今回も要件の緩和の要望とのことですが、どこまで要件を緩和したらこのサービスが普及するのかという気がいたします。このまま行けば通常と夜間対応の訪問介護で十分足りるのではないかという気もするのですが、鳴り物入りで登場した割には普及しないのはなぜなのか。そもそもたてつけに無理があるのではないか。外国のサービスをデンマークあたりから直輸入したような感じがしますので、元々に無理があるのではないかという気がするのですが、当事者としてどのようにお考えなのか、聞かせていただきたいと思います。

○冨永意見陳述人
 難しい質問でございましたが、まず直輸入という感覚を我々は持っておりませんで、協会の方が申し上げましたが、我々は平成2年からホームヘルパーのサービスをニーズの中で実施し、平成9年には訪問看護事業を始めました。そして、平成23年にモデル事業を始めましたが、18名でスタート。私の中津市は8万5,000ですが、大体15~30分以内ということで、旧市内を対象、6万5,000人ぐらいの人口でございますけれども、モデル事業を平成23年にスタートしたとき18名。その翌年に正式に事業をスタートしましたが、1年後には34名。そして現在、御利用者は65名ということで、しっかりとニーズがあるなということは確信いたしておりますし、一般の方のアンケート等もお伺いすると、最期まで暮らせるならば自宅で暮らしたいということで、それを私たちは受けとめておるわけでございまして、特別養護老人ホームに入るのは最期の時点でということで、最期ぎりぎりまで自宅で暮らしていきたいという御希望に応えたい。
 我々はターミナルケアのほうも現在実施いたしております。我々もこれがなかなか普及しないという悩みを持っているわけでございますけれども、保険者の方に対して、先週も福岡県に行ってまいりましたし、各県で普及、周知の研修会を行っておりますが、保険者の方の理解が非常に低いという個人的な感想を持っております。もう少しきつく言えば、地域包括ケアシステムに取り組む責任感といいますか、簡単に言えば、やる気がもう少し何とかならないかなと思います。また、我々の研究会には社会福祉法人が半分ちょっと切るぐらいで、医療法人や企業の方が非常に熱心でございますけれども、そもそも福祉、介護の本家であるところの社会福祉法人さんにもう少し原点としての地域の取り組み、そして地域の福祉の向上という使命感の原点に返ったときに、積極的にこの事業に取り組んでいただくことを今後私たちは伝えていきたいと思いますし、こういう事業、施設に入らなくても自宅で暮らせるというシステム、サービスがあるということを国のほうでも厚労省のほうでも公報をお願いいたしたい。そういうことで全体的に進める中で、地域包括ケアシステムの推進には我々の定期巡回は必ずや必要だという実感としての感想を持っております。

<定期巡回・随時対応・・・については、たしかに普及率が低いです。「そもそもたてつけに無理があるのではないか」という鈴木委員の疑問は、特に人口密度の低い地方の状況を知る人間としては同感です。保険者や社会福祉法人のあり方にも課題がないわけではありませんが、「責任感」や「やる気」の問題だけで前進できるような気がしません。だからこそ、実際に事業を展開している人たちの声を聴く必要はあるのでしょうが。>

(つづく)