民法改正6・復代理人

<改正前>

任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。(これは変更なし)

(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

法定代理人による復代理人の選任)
第百条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。

(復代理人の権限等)
第百条 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。


<改正後>

任意代理人による復代理人の選任)
第百四条 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。(これは変更なし)

法定代理人による復代理人の選任)
第百条 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

(復代理人の権限等)
第百条 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

 (代理権の濫用)
第百七条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。


任意代理人の復代理人、つまりAさんがBさんを代理人とし、さらにBさんがCさんを代理人とするような行為は、制限された形でしか認められていません。Aさんが許諾したか、それともやむを得ない事由でAさんに連絡が取れなかったけれどもCさんを復代理人として選任せざるを得なかったか。

それ自体は変わらないのですが(第104条)、その復代理人を選任したBさんの責任について(どちらかといえば限定的に)定めた第105条が削除されます。

一方、法定代理人が復代理人を選任する場合については、あまり変わりません。改正前の第105条が削除となったため条番号は繰り上がりますが。
そして、繰り上がったために空いた第107条として、代理権の濫用についての条文が追加されます。

(たぶん、つづく)