金を使わない理由

「90歳、いつまで生きているつもりか」 麻生氏、小樽の自民・総決起大会で

北海道新聞 6月18日(土)7時30分配信)

 【小樽】麻生太郎副総理兼財務相は17日、参院選に向けて自民党道4区支部小樽市内で開いた総決起大会で「90歳になって老後が心配、と訳の分からないことを言っている人がテレビに出ていた。いつまで生きているつもりかと思いながら見ていた」と述べた。高齢者の気持ちを逆なでしかねない発言で、波紋を広げる可能性がある。

 麻生氏は、国内には1700兆円を超える個人金融資産があるのに個人消費が伸びない経済の現状を指摘する中で発言した。「あったら使わなきゃ意味がない。何に使うか決めてもらいたい」とも述べた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160618-00010000-doshin-hok&pos=1


失言の総合商社みたいな麻生氏の発言に突っ込むのも大人げないとは思いますが、やっぱり記事にしておきます。

問題のひとつは、個人が(あるいは配偶者を含めて)いつまで生きるのか本人もわからないということ。*注
(自殺する予定の方や、病気で余命宣告を受けた方などを除く。)
だから、資産(預貯金など)をどの程度残しておかなければならないのか、見当がつきにくい。

もうひとつは、資産を全額(あるいはほとんど)使い切った場合に、セーフティネットになるべき社会保障に信用がおけないこと。
年金はもちろん、医療保険(は少しはマシですが)、介護保険は制度がどういう風に変わっていくか、まるでわからない。
介護保険法施行時には、要支援者がまるっきり使えない在宅サービスはほとんどなかった。
それが予防給付制度で制約を受け、ついには介護予防訪問介護、介護予防通所介護はなくなります。
そして、財務省筋(どこかのアホウ大臣の縄張り)の意向か、要介護者の訪問介護からも生活援助を外そうという動きが出ています。
こんな状況で、麻生氏クラスの金持ちはともかく、一般的な高齢者が安心して金を使えるか。

高齢者に金を使ってもらおうとしたら、安定した社会保障制度にするのが一番です。
それがわからないのなら、やはりさっさと財務相をお辞めいただくのが日本経済のためだと思います。


*注:国民のうち何歳まで生きる高齢者がどれくらいか、という推計ならある程度可能です。
  だから、個人での対策より、国としての対応の方が現実的、という見方もできます。