前記事の発言へのツッコミ

前記事(2016年2月17日 第55回社会保障審議会介護保険部会 議事録)の発言へのツッコミ。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000117644.html

○小島参考人
「実際の要介護認定、要支援2と要介護2というのは、介護に要する負担時間数が全く同一でございまして」

これは、
「要支援2と要介護1というのは、介護に要する負担時間数が全く同一・・・」
の間違いではないでしょうか。
発言者の間違いか、記録者の間違いか、わかりませんが。

そして、要支援2と要介護1が、介護に要する標準的な時間数のレベルが同じぐらい、という意味だったとしたら、それは全くそのとおりです。
だから、要支援2と要介護1とで利用できるサービスに大きな差がある状態は、本当はおかしい、ということになります。

○土居委員
「重度化を予防するためには、軽度者への支援をしっかりやるべきだということは、一理あるとは思いますが、本当に何が重度化予防になるのかというエビデンスが、やはり不十分だと思います。」

これは、一見そのとおりのように思える発言ですが、
むしろ、「軽度者支援を外しても重度者が増えない」ということについて、除外を提案している側が証明すべきです。
これまでの制度に基づいて、ケアマネジメントにより必要とされるサービスが計画に位置付けられているわけですから、
それが不必要であるということ、それを外しても重度者が増えないということについてエビデンスがなければ、除外すべきではありません。
「何が重度か予防になるのかというエビデンス」がなければ軽度者のサービスを外すべき、
というような理屈にはならないと思います。

○鈴木(邦)委員
ドイツでは、むしろ、日本の要介護3、4、5に相当する3段階だったのを、認知症の軽症、中等症を拾うために5段階に見直すということもありますので、日本の優れた介護保険制度をぜひ維持していただきたいと思います。」

これは重要です。
介護保険制度の準備段階で、ドイツの制度をそのまま導入しなかったのは、それなりの理由があったはずです。
「金が足りないから」という理由だけで、(現在の)ドイツの制度の真似をする、というのでは、先人の努力を無にすることにもなります。
まあ、日本の介護保険制度が全面的に優れているというわけではないと思いますが、ドイツなど中重度に重点化した制度が優れているというわけではないことも、世間に周知すべきだろうと思います。