公布通知(後)~社会福祉法改正

前記事の続きです。

三 経過措置等

(1)平成28年4月1日以後に開始する会計年度において、厚生労働省令で定める基準に従い、会計処理を行わなければならないものとすること。(附則第3条関係)

(2)この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、必要な定款の変更をし、所轄庁の認可を受けなければならないものとすること。(附則第7条関係)

(3)一定規模以上の社会福祉法人が会計監査人を置かなければならないのは、施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時からとすること。(附則第8条関係)

(4)施行日前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、あらかじめ、(2)の認可を受けた定款の定めるところにより、評議員を選任しておかなければならないものとし、施行日の前日において社会福祉法人評議員である者の任期は、同日に満了するものとすること。(附則第9条関係)

既存の社会福祉法人にとって、第一関門は定款変更です。

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附則第7条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、必要な定款の変更をし、所轄庁の認可を受けなければならない。
2 前項の認可があったときは、同項に規定する定款の変更は、施行日において、その効力を生ずる。

第9条 施行日前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、あらかじめ、新社会福祉法第三十九条の規定の例により、評議員を選任しておかなければならない。
2 前項の規定による選任は、施行日において、その効力を生ずる。この場合において、新社会福祉法第四十一条第一項の規定の適用については、同項中「、選任後」とあるのは「、社会福祉法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第二十一号)の施行の日以後」と、「を選任後」とあるのは「を同日以後」とする。
3 施行日の前日において社会福祉法人評議員である者の任期は、同日に満了する。
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まだ政省令や通知(新定款準則等)が出そろっていませんが、条件が整えば、
・現行のルールでの定款変更認可申請(もちろん理事会等での議決を経て所轄庁へ)
・その認可後、H29.4月以降の任期となる評議員の選任
平成28年度内に行っておく必要があります。
所轄庁にもよりますが、定款変更認可手続きが混み合う可能性があるので、申請はなるべく早めの方がよいと思います。

これまで、理事6名、監事2名、理事を含む評議員13名で運営してきた法人なら、理事+評議員13名を理事6名+評議員7名に切り分ければ(人数的には)計算が合います。
評議員会のない法人なら、7名(以上)の候補者を集めなければなりません。
ただし・・・

(5)一定規模以下の社会福祉法人は、施行日から起算して3年を経過するまでの間、評議員の定員を4人以上とすること。(附則第10条関係)

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附則第10条 この法律の施行の際現に存する社会福祉法人であって、その事業の規模が政令で定める基準を超えないものに対する新社会福祉法第四十条第三項の規定の適用については、施行日から起算して三年を経過する日までの間、同項中「定款で定めた理事の員数を超える数」とあるのは、「四人以上」とする。
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ということで、政令(まだ出ていないと思いますが)の基準以下の事業規模なら、3年間は4名体制での評議員会も可能です。
どうしても評議員を選任することができないと、

第42条 この法律又は定款で定めた評議員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した評議員は、新たに選任された評議員(次項の一時評議員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお評議員としての権利義務を有する。
2 前項に規定する場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、一時評議員の職務を行うべき者を選任することができる。

ということで、最悪の場合、所轄庁が「一時評議員」を選任することとなるのでしょう。
いや、最悪とは、法人自体が潰れてしまうことかもしれませんが。

(6)この法律の施行の際現に在任する社会福祉法人の役員の任期は、施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までとすること。(附則第14条関係)

(7)会計監査人の監査並びに理事会及び定時評議員会の承認を受けなければならないのは、平成28年4月1日以後に開始する会計年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書とすること。(附則第18条関係)

(8)社会福祉充実計画を作成し、これを所轄庁に提出して、その承認を受けなければならないのは、施行日以後に開始する会計年度からとすること。(附則第23条関係)

いろいろ経過措置はありますが、

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附則第15条 この法律の施行の際現に在任する社会福祉法人の理事の代表権については、施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は、なお従前の例による。
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ということで、

定款変更→新評議員選出→改正法施行(H29.4月)→新評議員会で新役員選出→新理事会で理事長選出

という手続きが終了するまでは、それまでの理事長が代表権を有する、ということになります。

8 留意事項
 この法律の成立に際して、衆議院厚生労働委員会及び参議院厚生労働委員会において、それぞれ、別添1及び別紙2のとおり附帯決議が付されているところであり、これらの趣旨を踏まえた適切な運用をお願いしたい。

(別添1)
社会福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
平成27年7月29日 衆議院厚生労働委員会

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

一、社会福祉法人の経営組織のガバナンスを強化するには、評議員、理事等の人材の確保や会計監査人の導入等、新たな負担も懸念される。このため、特に小規模の法人については、今後も安定した活動ができるよう、必要な支援に遺憾なきを期すこと。

四、地域公益活動の責務化については、待機児童、待機老人への対応など本体事業を優先すべきであり、社会福祉法人の役割と福祉の公的責任の後退を招くことのないようにすること。社会福祉法人設立の主旨である自主性と社会福祉事業の適切な実施に支障を及ぼすような過度の負担を求めるものではないことを周知徹底すること。

特に四。
冒頭の「2の一」は努力義務です。
国(厚労省だけでなく財務省も)や自治体は強要しないこと。
社会福祉法人の経営者も勘違いしないこと。

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