公布通知(前)~社会福祉法改正法

平成28年3月31日付け社援発0331第40号「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について」
都道府県知事/指定都市市長/中核市市長あて 厚生労働省社会・援護局長通知 より抜粋


2 社会福祉法(昭和26年法律第45号)の一部改正

一 社会福祉法人が福祉サービスを提供するに当たっての責務の創設
 社会福祉法人は、社会福祉事業及び公益事業を行うに当たっては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならないものとすること。(第24条第2項関係)

「努めなければならない」ということで、いわゆる「努力義務」ですが、これについては後で触れます。


二 社会福祉法人の経営組織の見直し

(1)評議員、理事、監事及び会計監査人の資格、職務及び責任並びに評議員評議員会、理事、理事会、監事及び会計監査人の権限に関する規定の整備を行うこと。(第36条から第45条の22まで関係)

(2)社会福祉法人評議員会を置かなければならないものとし、評議員会において、理事、監事及び会計監査人の選任等の重要事項の決議を行うものとすること。(第36条第1項、第43条第1項、第45条の8等関係)

社会福祉法人が大変なのは、まずこちらの関係です。H29.4月改正後の条文を見ていきましょう。

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第36条 社会福祉法人は、評議員評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。
2 社会福祉法人は、定款の定めによつて、会計監査人を置くことができる。
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評議員(会)は、全法人が必置ではありませんでした。
たとえば保育所のみを運営する社会福祉法人では、理事6名、監事2名という体制のところが多いのではないかと思います。
それで、評議員会を作る必要があるのですが、

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第39条 評議員は、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから、定款の定めるところにより、選任する。

第40条
2 評議員は、役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
3 評議員の数は、定款で定めた理事の員数を超える数でなければならない。
4 評議員のうちには、各評議員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各評議員厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
5 評議員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
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H29.4月改正後の法第44条第3項により、理事は6名以上。したがって7名以上の評議員を選任する必要があります。
しかも、役員(理事・監事)、役員の三親等以内の親族等、職員ではない人間を。

役員については、

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第44条
2 監事は、理事又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
3 理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。
4 理事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない。
 一 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
 二 当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者
 三 当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあつては、当該施設の管理者
5 監事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない。
 一 社会福祉事業について識見を有する者
 二 財務管理について識見を有する者
6 理事のうちには、各理事について、その配偶者若しくは三親等以内の親族その他各理事と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が三人を超えて含まれ、又は当該理事並びにその配偶者及び三親等以内の親族その他各理事と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が理事の総数の三分の一を超えて含まれることになつてはならない。
7 監事のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
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ということで、これまでの運用と似ていますが、国の通知で示されていた事項が正式に法令の中に位置付けられた形になっています。

(3)一定規模以上の社会福祉法人は、会計監査人を置かなければならないものとすること。(第37条関係)

(4)清算に関する規定の整備を行うこと。(第46条の3から第47条の7まで関係)

(5)合併に関する規定の整備を行うこと。(第48条から第55条まで関係)

(6)その他所要の規定の整備を行うこと。

三 社会福祉法人の事業運営の透明性の向上

(1)定款、計算書類、事業の概要を記載した書類等の備置き及び国民一般に対する閲覧等に係る規定を整備すること。(第59条の2等関係)

(2)社会福祉法人は、定款、計算書類、事業の概要を記載した書類等を公表しなければならないものとすること。(第59条の2第1項関係)

(3)その他所要の規定の整備を行うこと。

四 社会福祉法人の財務規律の強化

(1)社会福祉法人は、理事、監事、評議員、職員等の関係者に対し特別の利益を与えてはならないものとすること。(第26条の2関係)

(2)社会福祉法人は、理事、監事及び評議員に対する報酬等の支給の基準を定め、公表しなければならないものとすること。(第45条の35第1項及び第59条の2第1項関係)

(3)毎会計年度、純資産の額が事業の継続に必要な額を超える社会福祉法人について、既存の社会福祉事業若しくは公益事業の充実又は新規の社会福祉事業若しくは公益事業の実施に関する計画(以下「社会福祉充実計画」という。)を作成し、所轄庁の承認を受けなければならないものとすること。(第55条の2第1項関係)

(4)社会福祉法人は、社会福祉充実計画の作成に当たっては、次に掲げる事業の順に検討し、記載しなければならないものとすること。(第55条の2第4項関係)
 ア 社会福祉事業又は公益事業(第2条第4項第4号に掲げる事業に限る。)
 イ 公益事業(第2条第4項第4号に掲げる事業を除き、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする事業区域の住民に対して、無料又は低額な料金で、その需要に応じた福祉サービスを提供するものに限る。以下「地域公益事業」という。)、
 ウ その他の公益事業

(5)社会福祉法人は、社会福祉充実計画の作成に当たっては、公認会計士、税理士等の財務に関する専門的な知識経験を有する者の意見を聴かなければならないものとすること。(第55条の2第5項関係)

(6)社会福祉法人は、地域公益事業を行う社会福祉充実計画の作成に当たっては、事業区域の住民その他の関係者の意見を聴かなければならないものとすること。(第55条の2第6項)

(7)その他所要の規定の整備を行うこと。

このへんは、この際すっ飛ばして、次の記事に続きます。