読売記事(2016.1.20)・その2

まず、前記事の読売新聞記事の箇条書き分についてのコメント。

1)介護費用は、介護保険がスタートした2000年の約4兆円から現在は年10兆円超に急増。

→ 被保険者数も増加しているし、基盤整備(特に単価が高い施設サービス)もあるので、ある意味当然。
  基本的には高齢者個人の責任ではありません(老健局OB等を除く)。

2)財務省の08年の試算によると、軽度者向けの調理や買い物、掃除など生活援助にかかわるサービスすべてを介護保険から外した場合、年約1100億円の削減が見込める。これらのサービスを使っている軽度者は約30万人とみられる。

→ 2014年頃のデータを使って計算しましたが、やはり生活援助が介護給付費全体の1%余りという傾向は同じようです。
  ただし、6などの理由により、国が見込むほどの削減効果はないでしょう(調理と買い物の除外だけなら、言わずもがな)。
  利用者は30万人より多いと思います。要支援者向けサービスの削減で、要介護1以上が増えるでしょうし。
  こんな変な制度変更して、(国の言い値どおりであったとしても)介護保険料が1%も安くならないのだから、やる価値なし。

3)配食サービスは1食あたり500~600円が相場で、利用者の負担は月2万~3万円。調理や買い物サービスが保険から外れた場合、これらが利用者の負担になる恐れもあり、厚労省は、自治体の事業を受け皿にしたい考えだ。

→ 配達が容易な都市部で500~600円でも、中山間地や離島ではより高額になるか、中身が貧しくなるか。
  それと、何でも自治体に押しつけるな!

4)結城康博・淑徳大教授は「ヘルパーが自宅を訪れる生活援助には、高齢者の孤立や引きこもりを防ぐ効果もある。家計の圧迫にもつながりかねず、慎重な検討が必要だ」と指摘している。

→ 結城先生と私は全く同じ意見のものばかりではないと思いますが、審議会等では頑張ってください。
  (私なら「慎重な検討が必要」ではなく、はっきり「不可」と指摘しますが。)

5)厚生労働省が、介護保険の軽度者向けサービスを見直すのは、社会保障費の給付抑制だけが狙いではなく、限られた人材を手厚い介護が必要な中重度者に集中させたいという事情もある。

→ 施設サービス等に比べて、訪問介護では現場でヘルパーが判断しなければならないことが多い。
  施設では(夜勤時等を除き)他のスタッフの支援もあります。
  軽度者の方が独居者の比率が高いことも勘案すると、優秀な人材は中重度者に集中させるべきではない。

6)見直しには、「家事の手助けが得られなくなれば、施設暮らしが増える。長期的にはコスト増」との声もある。

→ そのとおり。

7)保険から外れたサービスを提供する民間事業者が少ない中山間地に住む利用者や低所得者への支援も検討課題だ。

→ そのとおり。

8)自治体では今年度から、研修を受けた主婦らによる高齢者の家事支援が始まった。国はこうした取り組みを強化し、代替サービスの受け皿作りを急ぐべきだ。

→ 急いでも無理。


(たぶん)続きます。