文系学部も必要では?

<国立大学>33校で文系見直し 9大学で教員養成廃止
毎日新聞 10月20日(火)12時3分配信)
 国立大学で2016年度以降、人文社会科学系の学部・大学院の組織見直しを計画しているのは33大学で、人文社会科学系がある60大学の半数超に上ることが20日分かった。各大学の16年度以降の6年間の中期目標・計画の素案が同日開かれた文部科学省の専門分科会で示された。一方、組織の廃止を予定しているのは横浜国立大など9大学で、いずれも対象は教員養成系学部だった。文科省が6月の通知で求めていた国立大の文系学部の組織改編が一気に進むことになる。年度内に文科相が各目標を決定し、計画を認可する。
(中略)
 中期目標・計画を巡っては、文科省が6月にその作成の基になる通知を出した。各大学・学部の強みや役割を整理するため、専門分野が細分化している人文社会科学系の改組や教員養成系の新課程の廃止を求める意図だったが、
人文社会科学系にも廃止を求めるように読める文面だったことから、学術界などから「文系軽視だ」と反発が起き、文科省は「文書ミスだった」と認めている。
(以下略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151020-00000032-mai-life


この「通知のミス」については、やはり毎日新聞の報道がありました。


文系廃止通知:ミスでした 真の対象、教員養成系のみ 国立大巡文科省 釈明に奔走、撤回はせず
毎日新聞 2015年09月27日 東京朝刊)
 国立大学の人文社会科学系学部の改組や廃止を求めた通知が波紋を呼び、文部科学省が「火消し」に躍起になっている。6月8日付の文科相名の通知に学術界やマスコミから「文系軽視だ」と批判が上がったため、役所の担当者が「誤解です」とあちらこちらに説明に奔走している。だが通知は英訳され海外にまで広がっており、通知の出し直しを求める声も上がっている。【三木陽介】

 「人文社会科学系の廃止を心配していたが、説明を聞いて、そうではないと分かってほっとしている」。今月18日、「科学者の国会」と称される「日本学術会議」の大西隆会長(豊橋技術科学大学学長)は安堵(あんど)の表情を浮かべた。学術会議は7月に「人文・社会科学の軽視は大学教育全体を底の浅いものにしかねない」と声明を出していた。

 この日開かれた学術会議の幹事会で、文科省の担当局トップ、常盤豊・高等教育局長が30分間にわたって通知の「真意」を説明した。その趣旨はこうだ。

 「大学は、将来の予想が困難な時代を生きる力を育成しなければならない。そのためには今の組織のままでいいのか。子どもは減少しており、特に教員養成系は教員免許取得を卒業条件としない一部の課程を廃止せざるをえない。人文社会科学系は、専門分野が過度に細分化されて、たこつぼ化している。養成する人材像が不明確で再編成が必要だ」

 局長からの説明を受けた大西会長は報道陣に「改革の必要性はその通り」と話し、理解を示しつつもこう付け加えた。「通知を何度読み返してもそうは理解できない」

 通知の経緯は、文科省が大学側と協議しながら2012年度から進めてきた「ミッションの再定義」と呼ぶ作業にさかのぼる。各大学・学部の強みや役割を整理する狙いだった。そして文科省が昨年7月にまとめた文書は、教員養成大学・学部の一部の課程について「廃止を推進」と明記した。人文社会科学系には「組織のあり方の見直しを積極的に推進」としていて、「廃止」の文字はなかった。

 ところが、今年6月に大学向けに出した通知は、人文社会科学系を「廃止」の対象に含めてしまい、大きな反発を招いた。文科省幹部は「通知を作った役人の文章力が足りなかった」とミスを認め、自身の名で出した下村博文文科相は今月11日の記者会見で「廃止は人文社会科学系が対象でない。誤解を与える文章だったが、(通知の)一字一句まで見ていない」と釈明した。

 日本学術会議の大西会長は「通知を取り換えた方がいい」と話すが、文科省は撤回して再通知する予定はないという。ある文科省幹部は「組織を『見直す』場合も、手続き上はいったん『廃止』してから『新設』する。通知は間違いと言いきれない」と強弁する。
(以下略)

http://mainichi.jp/shimen/news/20150927ddm041100066000c.html


学費が相対的に安いとされている国立大の学部の状況によっては、優秀だけれど経済的に恵まれない若者が希望の分野に進学できないという恐れもあります。
それはそれとして、ちょっと気になって調べてみました。


採用昇任等基本方針に基づく任用の状況(平成24年度)より
平成26年1月31日 文部科学省文化庁
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/01/__icsFiles/afieldfile/2014/03/18/1343783_2.pdf

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国家公務員1種の事務系が、国立大(または院)の教育+人文社会科学系学部の比率が高く、6割を超えています。
1種技術系は、さすがにそれほど高くありません。2種(行政)では3分の1。

うがった見方をすれば、これら文部科学省に採用された1種事務系の国立大+院の教育・人文社会科学系学部出身者の出来が良くなかったので、これらの学部を抑制しようとした、ということなのでしょうか?
そのへんの実情はわかりませんが、
国家公務員(厚労省を含む)の文章力については、私も危惧しているところではあります。