議事録つまみ食い・発言は正確に

2014年6月25日 第103回社会保障審議会介護給付費分科会議事録より
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000053279.html

迫井老人保健課長 (略) お手元の資料1「区分支給限度基準額について」という資料で御説明をさせていただきます。
(略)
5ページ、平成24年、直近の改定で区分支給限度基準額に関する御議論をいただいた。これは、この後出てきますケアマネジメントの議論にも係る話でございますけれども、調査を行っており、その調査の概要でございます。
(略)訪問介護のサービスを見ますと生活援助の利用が多かった。(マル3)ですが、なぜそうなったのかというと、御家族、御利用者の要望に応えた。こんな内容でしたということを踏まえて御議論をいただいたということでございます。(以下略)

武久委員 (略) 5ページでわかるように、過去に多い居宅サービスは何かというと、やはり訪問介護が圧倒的に多くて、しかも生活介護が非常に多いという結果が出ております。これに関しては、単純に支給限度額をどんどん上げるのではなしに、そのケアプランの中身をもうちょっと精査して、利用者本位と言いながら利用者の家族本位になっているようなところがあれば、これはちょっと問題かなと思いますし、生活支援が訪問介護のうちの8割も占めるということ自身の実態解明というのは、非常に重要かと思います。


 
<資料1「区分支給限度基準額について」の5ページ>というのは、こういう資料です。
(クリックすると拡大されます。なお、赤色は引用者が書き込みました。)


イメージ 1



 
この資料の元になった調査の表現については、このリンク先から3記事にわたって問題を指摘しました。
 
時間数で比較すれば「身体介護に比べて生活援助の利用が多かった」というほどではありませんし、
生活介護が非常に多いという結果」
「生活支援が訪問介護のうちの8割も占めるということ」
という武久委員の発言に至っては、(生活援助が生活介護などという障害福祉サービスと紛らわしい表現になっていることを大目に見たとしても)委員としての適格性に疑問があると言わざるを得ません。
 
(それにしても、8割というのはどこから来た数字なのか。国のでっち上げ資料にも見当たらないし。)
 
一方、委員の発言の中には、なるほどと思ったのもあったので、そちらは下手なコメントを付けずに掲載しておきます。
 


田部井委員 私も5ページの限度額超過者に対する市町村の点検で、見直しの余地のあるケアプランが9割を占めているという調査結果なのですけれども、これには本当にそうなのかと言うとおかしいですが、えっと思った次第です。

 「家族等で介護が補えないため」あるいは「利用者本人や家族からの強い要望があるため」というのが理由として挙げられているわけですけれども、そのまま読みますと、余り必要がないのに家族に押されて仕方がなく、必要もないものが使われているのではないか。だから、厳しくチェックをして減らしていくべきではないかという方向性を示しているとも受け取れるような気がします。

 ですけれども、今、多くの人がどれぐらい利用をしているかということと、限度額を超過している人がどれぐらいいるかということと、私などの利用者としての実感、例えば今、要介護5で在宅をあれしている人は限度額をいっぱい使いますと3万6,000円で、それでも賄い切れないので2万円を自己負担して5万6,000円を払って、それから食事代等を合わせると7万~7万5,000円を払って在宅介護をしているという現状もあります。

 そのように考えますと、私は限度額を超過している人が問題だという形でチェックをするというよりも、そういう方はやむを得ず、そうしないと介護が成り立たないのでそうしているのだと評価すべきで、したがって、超過していることを制限しようとするよりも、むしろ必要なサービスが全額自己負担でなくて利用ができるような配慮をすべきではないかと考えています。

 認知症の人と家族の会では、当面、要介護4、5の人については厳しく精査されてもいいのかもしれないですけれども、必要なサービスが全額自己負担ではなく利用ができるような配慮をして、在宅介護に対する励ましとするような形をとっていただければと考えております。現時点でも結構なのですけれども、厚生労働省のほうで、こういう提案についてどのように考えられるのか、もし、話していただけることがあれば話していただけるとありがたいと思います。

田部井委員 論点に沿ってということもありましたので、利用者のあり方を考えますと、私は率直に言って定期巡回、複合型が伸びていくのは難しいと思います。報酬をいじっても、伸びるかといったら私は無理なのではないか。一つには、その段階に行くまでに、もう介護者が疲弊してしまっているということですね。意欲がない。同じような金額であれば施設にお願いするということになってしまっているということが一つありますし、お金的に言ってもそこまで払える人はいないというのが実情ではないでしょうか。ですから、介護報酬をいじる云々というよりも、そもそも定期巡回、随時対応あるいはその複合型というのが、理念としては正しいのかもしれないですけれども、現実に即したものなのかということを根本的に考え直す必要があるのではないかと。むしろ従来の制度をもっときめ細かく使えるような形に変えていくことのほうが重要なのではないかと私は思っています。