統計で(国民や委員を)だます方法3

前記事までで述べたように、「区分支給限度基準額に関する調査結果の概要」にあるような、
各サービスが「ケアプランに位置づけられた割合」だけでは、サービスが量的に多いかどうかはわかりません。
位置づけられた時間数がわからないからです。
 
(とはいえ、くだんの資料を見て、生活援助の中でも「掃除」は多すぎるかもしれないな、という個人的な印象はあります・・・自宅の掃除頻度が高くない私としては・・・)
 
訪問介護の各サービス類型ごとの時間を調べるためには、以前にも使った介護給付費実態調査報告が便利です。
「支給限度額超過者」などに限定した分析はできませんが、全体的な傾向はつかむことができます。
 


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「区分支給限度基準額に関する調査結果の概要」が平成22年3月実績なので、介護給付費実態調査報告の同年5月審査分を用いてみました。これは、現物給付分は3月の、償還給付分は4月の実績値なので、「区分支給・・・の概要」とほぼ同時期といってよいでしょう。
比較のために、直近の平成26年5月審査分も並べてみました。
 
回数を時間数に換算する方法は、「30分未満→25分」など、こちらの記事で用いたのと同じです。
 
結果も、ほぼ同様です。
どの時期でも、生活援助は要介護2~3をピークとした緩やかな曲線を描き、身体介護は重度になるほど上昇します。
総数は、生活援助の方が少し多いですが、この比較には入っていない通院等乗降介助も「身体介護」的なサービスですから、それを勘案すれば、ほぼ同じくらいともいえます。
 
 
ちなみに、作ろうと思えば、こういう資料も作れます。
 


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単位数で比較すれば、身体介護の方が生活援助よりもずっと多くなります。
(身体介護の方が単価が高いから、当然といえば当然ですが。)
 
つまり、
「支給限度額超過という事態をもたらしたのは、単価の安い生活援助よりも身体介護の方に、より大きな原因がある。」
という主張さえ、成り立たないこともないのです。
 
まあ、実際には、それほど意味のない主張だとは思いますが、
「支給限度額超過は(不要な)生活援助を入れすぎたことが原因」
と断定したいらしい国の資料に対する反論材料のひとつぐらいにはなるでしょう。