生活援助に専門性はないか?

2016年6月3日 第59回社会保障審議会介護保険部会 議事録より

○陶山委員 (略)まず、資料1の4ページです。この※の文章なのですが、生活援助は誰でもできるサービスであると誤解をされると思いますのでお話しを申し上げたいと思います。

 確かに「掃除・洗濯・衣料の整理・ベッドメイク」は「等」というのはついていませんから、この4つについては切り分けられた仕事ならば誰でもできるということはあるかもしれません。しかし、特に訪問系ではベッドメイクの名目で、実際は利用者の身体状況や様子の確認などを行っているのであれば専門職の仕事だと感じます。

 このように利用者に対する自立支援のためには、利用者の生活を総合的に支援する視点が必要だと考えます。単に作業として生活援助があるわけではないということを申し上げたいと思います。

 同時に、私たち介護の現場から介護サービスの本質を外さないためにも、身体介護と生活援助を一元化すべきという意見があることもつけ加えておきたいと思います。
(略)

○内田委員 介護における生産性の向上とか業務効率化は必要であると思います。ただ、例えばそれが自立支援と反対の方向にいってしまったりとか、必要な方に必要なサービスがきちんと提供できないようなことにつながるようなことで業務効率化を行おうとするのであれば、それは違うのではないかと思っております。

 先ほど陶山委員からもお話が出ましたが、掃除とか洗濯等の生活援助に専門性がないかのような印象を持っているということが調査の結果にもありますが、例えばもともと訪問介護で生活援助と身体介護と分けてしまったところから、生活援助はこれだということで、それしかやらない、あるいはやれないといった実態が生まれてしまっていて、現在、生活援助と身体介護をずっと別にしておかなければいけないのかどうかを考えていくときではないかと思います。

 専門性があるかないかという話ですが、例えば身体介護や生活援助中に入っている行為だけに着目してしまえば、主婦でもできるのだといった話になるかもしれませんが、実際にはその行為を行うに当たって、例えば観察をするとか、実際に情報収集したことでアセスメントして、介護過程に展開させていくといったようなことを当然していますので、行為だけで専門性のあるなしと言うのは少し違和感があります。

 今までの介護でいきますと、例えば洗濯ができないから、あるいは掃除ができないからヘルパーが行えばいいといった補完的な介護をしてきたように思うのですが、そうではなくて、その人がどうすればできるのかといったことを考えていく、自立支援につなげていくというのが基本中の基本かと思っています。補完的なやり方をしていくのは違うのではないかと思います。
(略)

○花俣委員 (略)介護が必要な高齢者は独居の方であるとか、あるいは老老の世帯がふえていますけれども、在宅サービスの利用者が8割を超えているわけです。介護給付費実態調査の概況の2014年では、ホームヘルプサービスの利用者は要支援1、2を含めて204万人に上る。そうすると、例えば4ページの※、先ほどありました訪問介護事業所の管理者が考える生活援助云々というところですけれども、掃除、洗濯、衣類の整理、そういったものは参考資料1の40ページを見ますと、ここにはそれほど専門性を有しない者でもできるというような買い物、調理、配下膳、それら3種類は基本的な技術を備えた者がすべきとしていますが、生活援助にはそういう業務だけで割り切れるものがないし、ホームヘルパーの専門性が本当にどういうものなのかということを十分御理解いただけていないように思います。

 決して家事代行ではないわけですので、例えば勝手に利用者さん宅に上がって掃除、洗濯、衣類の整理、ベッドメイクを淡々とこなしてヘルパーさんが帰っていったなどということは余りイメージできないわけですから、そういう区分けをすること自体が生活援助を家事の中で単なる代行として見ていらっしゃるということなのではないかと受けとめました。

 やはり心身の状況を把握するとか、その方が来てくれることで安心になるとか、ヘルパーさんの業務というのは非常に多岐にわたっているのではないかと思います。そのことで利用者は安心して日常生活をより在宅で長く続けられると思っています。

 最後になりますけれども、この専門性があるとかないとかという40ページの回答者数なのです。209人となっていますけれども、この回答者がどういう方がお答えになったのかということを教えていただきたい。資格を持つ人なのか、管理者なのか、管理者だとしたらどのような人なの。209という数がすごく少ないと思ったものですから、それもあわせてお願いしたいと思います。
(略)

○辺見振興課長 (略)209のところは人材室長、答えられますか。参考資料の40ページの調査母体はわからないですか。

○榊原福祉人材確保対策室長 済みません。今はわかりません。確認してみます。


厚労省は、よく理解していない資料を鵜呑みにして部会に出しているのですね。

なお、複数の委員から批判や疑問の声が上がっていた資料は、こちらです。
(掲載の都合上、水平方向の圧縮をかけています。)

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