震災後3年経過時点の報道から

前記事で震災報道についていろいろ書きましたが、
災害時の映像等ではなく、今後の課題として報じられていることから、備忘録的に抜き書きしてみます。


東日本大震災3年 進まぬ災害公営住宅建設 用地不足、入札も不調

産経新聞 3月9日(日)7時55分配信)

 東日本大震災から3年。被災者が落ち着いて生活するための住環境改善が進んでいない。産経新聞の調査では、岩手、宮城、福島の被災3県の沿岸部で計画されている災害公営住宅は2万3千戸あまり。しかし、今月末までに完成するのはその1割弱の2千戸あまりにとどまった。今も家を失った多くの人々が仮設住宅での不便な生活を余儀なくされており、各自治体は解消に急ぐが、道のりには壁も多いのが実情だ。

宮城県石巻市
「段階を追った年次計画通りに進んでいる」
「既成の市街地に建設可能な空き地が少ない。区画整備などを担当する職員も足りていない
「建設費の高騰や、業者が多くの工事を抱えているために受注できず、入札不調もある」

岩手県陸前高田市
津波被害が大きかったことから、街全体の区画整理が必要で、災害公営住宅も調整が必要だった」
「すでに着工している住宅もあり、26年度から徐々に完成する」

 福島県南相馬市は昨年12月、市内の避難指示解除準備区域と居住制限区域を28年4月に解除する方針を示しており、両区域がある小高地区にも災害公営住宅を計画している。ただ、不動産鑑定が行えず、用地選定も難しい。建築住宅課は「その他の地域も、地権者が亡くなるなどしていて用地買収が進まないケースが出ている」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140309-00000054-san-soci&pos=1


<被災42市町村>入札不調「深刻化」半数 人手・資材不足

毎日新聞 3月9日(日)22時25分配信)

 東日本大震災で特に大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の42市町村長のほぼ半数が、公共工事の入札不調について、今後さらに「深刻になる」とみていることが、毎日新聞のアンケート調査で分かった。市町村発注の工事が2013年度に10%を超える高い不調率だったのは15市町に上り、改善されない人手や資材の不足が、東京五輪の影響でさらに加速することへの不安も多く聞かれた。

 調査は1月から3月にかけて書面により実施した。対象の自治体数は岩手12、宮城15、福島15。

 発注工事のうち入札が不調となった割合は岩手、宮城の計14市町が10%を超え、岩手県山田町が45.0%と最も高かった。福島では隣接する双葉郡などから約2万3000人の避難者を受け入れているいわき市が10.4%。理由として、ほぼすべての首長が、人手や資材の不足を指摘した。

 国土交通省によると、都道府県発注の入札不調率の全国平均は11年度で2.6%で、「10%を超えるのはまれ」(同省)とされる。市町村が発注する工事は、集団移転地の高台造成を除くと、多くは予定価格が1億円未満の中規模以下。市町村道や下水道のほか、規模の小さな漁港整備などが該当する。
(略)
 理由を尋ねる自由記入欄では、(首長の)8人が2020年の東京五輪の影響に触れた。「五輪関連の新たな建設需要により、(県外から)参入している業者が手を引くことも予想される。そうなれば処理能力を超える」宮城県石巻市)などの懸念が大半を占めた。一方、「労務単価(賃金の基準)の見直しにより改善される」(岩手県洋野町)の意見もあった。(以下略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140309-00000054-mai-soci


使い切れぬ復興予算 事業進まず基金化3兆円 被災3県

朝日新聞デジタル 3月10日(月)5時33分配信)

 東日本大震災の被災自治体で、使い切れない予算が急増し、「貯金」の残高が震災前より約3兆円積み上がっていた。政府は5年で25兆円を復興事業に流し込む計画だが、被災自治体では予算を使う職員が足りず、残高が増える一方だ。

 朝日新聞社は、岩手、宮城、福島の3県と各市町村について、自治体が決算をまとめて総務省に提出する「地方財政状況調査表」を入手。2010年度と震災後の11、12年度の3年分を分析した。予算は何にいくら使うかの「計画」だが、決算は実際に使われた「結果」だ。

 今回の震災では、自治体は使い切れなかった復興予算を、東日本大震災復興特別区域法などに基づき「基金」に積み立てている。年度に縛られず復興事業を進めるためだ。
(以下略)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140310-00000002-asahi-pol


取捨選択や文字強調などに引用者の意図が現れていそうなので、下手なコメントは控えますが、
実際、巨大災害というほどでなくても、災害の後の自治体(土木事務所や建設課など)は大変です。

また、東京五輪については、
「東京のインフラ整備に資源が集中し過ぎて、被災地の復興に悪影響が出ないようにしていただきたい」
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/32425550.html

と私も書きましたが、1年後、さらにその後、どうなっていくのでしょうか。