ひさびさ、ネット上某所の話題から。
ある資格試験の問題についての疑義のようです。
ヘルパーがサービス提供責任者とともに最初に取り組むべきこととして、もっとも適切なものは何か。
(軽度にせよ)認知症のある方の言葉を、事実確認せずに、いきなり地域包括支援センター(以下「包括」)に通報するのは、
・おおごとになりすぎる
・親族の名誉を傷つけたという名誉毀損になる
・ヘルパーの事業所側の責任問題になる
・おおごとになりすぎる
・親族の名誉を傷つけたという名誉毀損になる
・ヘルパーの事業所側の責任問題になる
などの意見です。
現場としては、いろいろな考え方があるだろうとは思います。
その親族とヘルパーやケアマネの事業所の人々との間で面識があるとかないとか、状況によって。
その親族とヘルパーやケアマネの事業所の人々との間で面識があるとかないとか、状況によって。
ただ、上に書いた
というのは、当たりません。
高齢者虐待防止法(正確には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」)を見ていきましょう。
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による<高齢者虐待を受けたと思われる>高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3 刑法・・・の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。
第七条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による<高齢者虐待を受けたと思われる>高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3 刑法・・・の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。
使い込みがあったとしても第1項には該当しないと思われますが、第2項には該当する可能性があるでしょう。
(<高齢者虐待を受けたと思われる>に留意。確証がなかったとしても該当します。)
そして、第3項で、他の法律に守秘義務規定があったとしても、それが第1項や第2項の通報を妨げるものではないことが明示されています。
(<高齢者虐待を受けたと思われる>に留意。確証がなかったとしても該当します。)
そして、第3項で、他の法律に守秘義務規定があったとしても、それが第1項や第2項の通報を妨げるものではないことが明示されています。
第八条 市町村が前条第一項若しくは第二項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって<当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。>
(事務の委託)
第十七条 市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の規定による相談、指導及び助言、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに第十四条第一項の規定による養護者の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。
2 前項の規定による委託を受けた高齢者虐待対応協力者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、<正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。>
3 第一項の規定により第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた高齢者虐待対応協力者が第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出を受けた場合には、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者又はその役員若しくは職員は、その職務上知り得た事項であって<当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。>
第十七条 市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の規定による相談、指導及び助言、第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認その他通報又は届出に係る事実の確認のための措置並びに第十四条第一項の規定による養護者の負担の軽減のための措置に関する事務の全部又は一部を委託することができる。
2 前項の規定による委託を受けた高齢者虐待対応協力者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、<正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。>
3 第一項の規定により第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた高齢者虐待対応協力者が第七条第一項若しくは第二項の規定による通報又は第九条第一項に規定する届出を受けた場合には、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者又はその役員若しくは職員は、その職務上知り得た事項であって<当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。>
つまり、市町村にせよ、包括にせよ、
誰から通報があったかということは漏らさないように対応することが義務づけられていますから、
親族が「濡れ衣」だったとしても「名誉毀損」にも「通報者の責任問題」にもなり得ません。
誰から通報があったかということは漏らさないように対応することが義務づけられていますから、
親族が「濡れ衣」だったとしても「名誉毀損」にも「通報者の責任問題」にもなり得ません。
虐待を防ぐためには、確証がなくても専門機関に通報することができるようにする。 善意で通報した人間が、刑事上あるいは民事上の不利益を受けないようにする。
現在の各種の虐待防止法は、そういう意味も込められています。