要支援でも障害サービスは使える

またまたネット上の某所での話題を参考に。
(あくまで「参考に」なので、オリジナルから変えている部分はあります。)
 


視覚や内部などに障害があって障害福祉サービスを利用していた人が、介護保険の要支援認定を受けた。
これまで居宅介護(ホームヘルプサービス)で週7時間相当のサービスを利用していたが、
予防訪問介護の事業者は週3時間しかサービス提供できないという。


(一見)難しい問題で、いろいろな意見が出がちです。

・予防訪問介護事業者がアセスメントして必要と判断した提供量以外は自費かボランティア利用しかない。
・要支援認定を辞退(あるいは期限切れで更新申請しない)すれば、障害福祉サービスが使えるようになる。

まず、参考になるのが、
平成19年3月28日付け障企発第0328002号・障障発第0328002号
障害者自立支援法に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」
です。
1-(2)-[3]
ア 在宅の障害者で、申請に係る障害福祉サービスについて当該市町村において適当と認める支給量が、当該障害福祉サービスに相当する介護保険サービスに係る保険給付の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額の制約から、介護保険のケアプラン上において介護保険サービスのみによって確保することができないものと認められる場合。
イ 利用可能な介護保険サービスに係る事業所又は施設が身近にない、あっても利用定員に空きがないなど・・・(略)。
ウ 介護保険サービスによる支援が可能な障害者が、介護保険法に基づく要介護認定等を受けた結果、非該当と判定された場合など、当該介護保険サービスを利用できない場合であって、なお申請に係る障害福祉サービスによる支援が必要と市町村が認める場合(略)。
 
これで誤解している方もいるのですが、ウの「非該当と判定された場合」でないと利用できない、というわけではありません。
例外的なイは置いといて、ア。
「支給限度額の制約」とか誤解が生じやすい表現もありますが、要は、
障害福祉サービスにおいて市町村が適当と認める支給量-介護保険サービスで確保できる量
は支給できる、という意味です。

おおもとは、障害者自立支援法第7条の規定です。
 
自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法・・・の規定による介護給付・・・その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度において・・・行わない。

だから、これまで週7時間必要と認められていて、65歳到達か何かで要支援・週3時間が介護保険から給付されることになった、ということは、週4時間分を障害福祉サービスから給付する。

それだけのことです。
 
ちなみに、この事例は、従前のサービスの中身をみると、買い物や調理などのほか、代読や代筆といった視覚障害者に特有の支援も入っているようです。
介護保険におけるアセスメント(あるいは認定)には、こういう障害者特有のニーズは勘案されていない場合があるので、週4時間程度の上乗せというのは、現実的にもあり得ると思います。
 
詳しくは、こちらのページも参考に。
http://www.jupiter.sannet.ne.jp/to403/hs7.html
 
そちらに書いている次の一節は、自分でいうのも何ですが、かなり自信のある言葉です(笑)
 
 なお、何が介護保険で利用できるサービスか、市町村の介護保険担当課と障害福祉担当課とで見解が一致しない場合は、市町村の内部で調整を行う必要があります。
 もし仮に、65歳(特定疾病該当の場合には40歳)に到達した時点で、心身の状況に変化がないにもかかわらず、利用できるサービス量(介護保険+障害者サービスの総計)が極端に落ちるようなら、介護保険担当課か障害福祉担当課のどちらかが誤った制度運用していると考えるべきでしょう。

あと、
「要支援認定を辞退(あるいは期限切れで更新申請しない)すれば、障害福祉サービスが使えるようになる。」
という考え方について。
判例が出ないと最終的な決着は難しいと思いますが、
障害者自立支援法第7条の立法趣旨から、現時点では私は否定的に考えています。

蛇足です。

こういう問題が起きるのも、元はといえば、予防給付という出来の悪い制度のためです。
厚労省老健局の失敗で、社援局も障害者も迷惑している。

それが実態です。