報酬改定と担当者会議の必要性

ある県の介護報酬改定に関する説明会で、妥当性を欠く説明があったという情報があります。

1「サービス提供に関する人員や時間に関しては変更がなく、単位数のみ変更となった場合であっても、サービス担当者会議を開催しなければならない」

2「各サービス提供事業所は、サービス担当者会議において、改定内容について確認がなされた後に、
契約書もしくは重要事項説明書の説明と同意を得なければならない。
(各書類の日付が、サービス担当者会議開催日以降の日付でなければおかしい)」
(某所より、勝手に引用。ただし、少しだけ表現を変えています。)

問題点
1)サービス担当者会議の開催が必要となる「居宅サービス計画の変更」に該当するのか。
2)重要事項説明等の同意日は、サービス担当者会議開催日以降でなければならないか。

まず、サービス担当者会議の開催が必要となる場合を確認します。

平成11年厚生省令第38号
「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の第13条関係です。

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八 介護支援専門員は・・・<利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等>を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。

九 介護支援専門員は、サービス担当者会議・・・の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。

十 介護支援専門員は、居宅サービス計画の原案に位置付けた指定居宅サービス等について、保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。

十二 介護支援専門員は、居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。

十四 介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
 イ 要介護認定を受けている利用者が法第二十八条第二項に規定する要介護更新認定を受けた場合
 ロ 要介護認定を受けている利用者が法第二十九条第一項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合

十五 第三号から第十一号までの規定は、第十二号に規定する居宅サービス計画の変更について準用する。

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計画変更に関して会議開催が必要なのは、
・要介護更新認定や区分変更認定時(14号イ・ロの場合)
・モニタリング等により必要と認められる場合(15号に準用規定がある12号の場合)
です。

まず、認定がらみでなければ14号には該当しません。

モニタリング等により本人や家族の状況などに変更がなく、サービス内容にも変更がない場合、12号にも該当しないと考えられます。

ちょっとだけ気になるのは、8号で「居宅サービス計画の原案」に記載されるとされている事項の中に「利用料」があることですが・・・

「利用料が変わればサービス担当者会議を開催しなければならない」というなら、1単位の単価が変更になる地域では、全員について会議を開催しなければならなくなってしまいます。

また、1単位単価の地域区分が変わらなくても、訪問看護のように「値上げ」になる場合があります。

これは非現実的です。

冒頭の説明をしたという県は、たしか全域が7級地だったと思いますが、
だからといって、このような(場合によっては他の都道府県にも混乱を及ぼすような)説明を行うべきではありません。


次に、2の重要事項説明等の同意日について。

実際にサービス内容に(軽微ではない)変更が生じる場合には、サービス担当者会議の開催が必要です。

これは、もちろん早い方が望ましいのでしょうが、正式告示が3月に入ってから、留意事項通知やQ&Aも出たばかり、という状況では、4月にずれ込むこともあり得るでしょう。
(21年改定時には、4月以降もQ&Aが出され、通所リハのリハマネ加算などは、そのたびに要件が緩和されるなど、ひどい状況でした。)

4月からのサービス提供に関するサービス担当者会議は、基準上は4月中に開催されれば運営基準減算にはなりません。
(減算にならなければ何をやってもよいと言うつもりはありませんが、タイトなスケジュールではやむを得ないでしょう。)

では、各サービスの重要事項説明等は?

これは、基本的には、サービス提供前に行うべきです。
(緊急時などは、口頭で説明しておいて、正式書類は後日、というのは許容されると思います。)

つまり、冒頭の県の説明はアウト!

だいたい、本人や家族がサービス担当者会議に参加する場合、事前に新報酬単価や加算の説明をしておかなくてどうするのですか?

冒頭の県の職員は、
各サービス事業者が行う重要事項説明等
と、
サービス担当者会議開催後に居宅サービス計画の原案について説明して同意を得ること
とを混同している可能性があります。


結論。
・冒頭の県の説明に従う必要なし。
・どうしても、というなら、県に交渉するなり国に相談するなりして、4月下旬頃まで様子を見る。
(会議開催は4月中で可。)