運営基準減算2・居宅介護支援

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について
(平成11年老企第22号)<H24.4.1改正>
(7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針
(略)
 なお、利用者の課題分析(第六号)から居宅サービス計画の利用者への交付(第十一号)に掲げる一連の業務については、基準第一条に掲げる基本方針を達成するために必要となる業務を列記したものであり、基本的にはこのプロセスに応じて進めるべきものであるが、緊急的なサービス利用等やむを得ない場合や、効果的・効率的に行うことを前提とするものであれば、業務の順序について拘束するものではない。ただし、その場合にあっても、それぞれ位置付けられた個々の業務は、事後的に可及的速やかに実施し、その結果に基づいて必要に応じて居宅サービス計画を見直すなど、適切に対応しなければならない。

[7] 課題分析における留意点(第七号)
 介護支援専門員は、解決すべき課題の把握(以下「アセスメント」という。)に当たっては、利用者が入院中であることなど物理的な理由がある場合を除き必ず利用者の居宅を訪問し、利用者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、利用者やその家族との間の信頼関係、協働関係の構築が重要であり、介護支援専門員は、面接の趣旨を利用者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。なお、このため、介護支援専門員は面接技法等の研鑽に努めることが重要である。
 また、当該アセスメントの結果について記録するとともに、基準第29条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。

[9] サービス担当者会議等による専門的意見の聴取(第9号)
 介護支援専門員は、効果的かつ実現可能な質の高い居宅サービス計画とするため、各サービスが共通の目標を達成するために具体的なサービスの内容として何ができるかなどについて、居宅サービス計画原案に位置付けた指定居宅サービス等の担当者からなるサービス担当者会議の開催により、利用者の状況等に関する情報を当該担当者と共有するとともに、専門的な見地からの意見を求め調整を図ることが重要である。また、やむを得ない理由がある場合については、サービス担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとしているが、この場合にも、緊密に相互の情報交換を行うことにより、利用者の状況等についての情報や居宅サービス計画原案の内容を共有できるようにする必要がある。なお、ここでいうやむを得ない理由がある場合とは、開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により、サービス担当者会議への参加が得られなかった場合、居宅サービス計画の変更であって、利用者の状態に大きな変化が見られない等における軽微な変更の場合等が想定される。なお、当該サービス担当者会議の要点又は当該担当者への照会内容について記録するとともに、基準第29条の第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。

[10] 居宅サービス計画の説明及び同意(第十号)
 居宅サービス計画に位置付ける指定居宅サービス等の選択は、利用者自身が行うことが基本であり、また、当該計画は利用者の希望を尊重して作成されなければならない。利用者に選択を求めることは介護保険制度の基本理念である。このため、当該計画原案の作成に当たって、これに位置付けるサービスについて、また、サービスの内容についても利用者の希望を尊重することとともに、作成された居宅サービス計画の原案についても、最終的には、その内容について説明を行った上で文書によって利用者の同意を得ることを義務づけることにより、利用者によるサービスの選択やサービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。
  また、当該説明及び同意を要する居宅サービス計画原案とは、いわゆる居宅サービス計画書の第1表から第3表まで、第7表及び第8表(「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)に示す標準様式を指す。)に相当するものすべてを指すものである。

[11] 居宅サービス計画の交付(第十一号)
 居宅サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者及び担当者に交付しなければならない。
 また、介護支援専門員は、担当者に対して居宅サービス計画を交付する際には、当該計画の趣旨及び内容等について十分に説明し、各担当者との共有、連携を図った上で、各担当者が自ら提供する居宅サービス等の当該計画における位置付けを理解できるように配慮する必要がある。
 なお、基準第29条第2項の規定に基づき、居宅サービス計画は、2年間保存しなければならない。

[12] 居宅サービス計画の実施状況等の把握及び評価等(第十二号)
 指定居宅介護支援においては、利用者の有する解決すべき課題に即した適切なサービスを組み合わせて利用者に提供し続けることが重要である。このために介護支援専門員は、利用者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、居宅サービス計画の作成後、居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。以下「モニタリング」という。)を行い、利用者の解決すべき課題の変化が認められる場合等必要に応じて居宅サービス計画の変更、指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うものとする。
 なお、利用者の解決すべき課題の変化は、利用者に直接サービスを提供する指定居宅サービス事業者等により把握されることも多いことから、介護支援専門員は、当該指定居宅サービス事業者等のサービス担当者と緊密な連携を図り、利用者の解決すべき課題の変化が認められる場合には、円滑に連絡が行われる体制の整備に努めなければならない。

[13] モニタリングの実施(第十三号)
 介護支援専門員は、モニタリングに当たっては、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、主治の医師、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、当該指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者の居宅で面接を行い、かつ、少なくとも1月に1回はモニタリングの結果を記録することが必要である。
 また、「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。さらに、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。なお、基準第29条第2項の規定に基づき、モニタリングの結果の記録は、2年間保存しなければならない。

[14] 居宅サービス計画の変更の必要性についてのサービス担当者会議等による専門的意見の聴取(第14号)
 介護支援専門員は、利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合など本号に掲げる場合には、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合については、サービス担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。なお、ここでいうやむを得ない理由がある場合とは、開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により、サービス担当者会議への参加が得られなかった場合や居宅サービス計画の変更から間もない場合で利用者の状態に大きな変化が見られない場合等が想定される。
 当該サービス担当者会議の要点又は当該担当者への照会内容については記録するとともに、基準第29条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
 また、上記の担当者からの意見により、居宅サービス計画の変更の必要がない場合においても、記録の記載及び保存について同様である。

[15] 居宅サービス計画の変更(第十五号)
 介護支援専門員は、居宅サービス計画を変更する際には、原則として、基準第13条第三号から第十一号までに規定された居宅サービス計画作成に当たっての一連の業務を行うことが必要である。
 なお、利用者の希望による軽微な変更(例えばサービス提供日時の変更等で、介護支援専門員が基準第十三条第三号から第十一号までに掲げる一連の業務を行う必要性がないと判断したもの)を行う場合には、この必要はないものとする。ただし、この場合においても、介護支援専門員が、利用者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であることは、同条第十二号([12]居宅サービス計画の実施状況等の把握及び評価等)に規定したとおりであるので念のため申し添える。