重症心身障害者のバレンタイン

それは、ずっと以前、ある重症心身障害児施設を訪問したときのことです。

児童福祉施設といっても、18歳以上の方も多数入所中でした。

児童福祉法第63条の3第1項
 都道府県は、当分の間、必要があると認めるときは、重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している満18歳以上の者について、その者を重症心身障害児施設に入所させ、又は指定医療機関に対し、その者を入院させて治療等を行うことを委託することができる。

ある医師が・・・以前の記事でコメントした「自閉症児の何割かは、税金を払う側になれる」と言った方です。
「何割」というのは、はっきり言われたのですが、私が憶えていません(苦笑)

ということで、こっちの記憶力は全く自信がありませんが、このときは、次のような趣旨の発言だったと思います。

○入所しているお子さんが成人になった以降も、親御さんに頻繁に施設まで来てもらうのは、難しいだろうと思う。

○ただ、身内の方が管理している障害年金のごく一部でいいから、入所者のために使わせていただきたい。

○そのお金で、バレンタインのチョコレートのやりとりをすると、入所者がとてもうれしそうにするから。

重度の肢体不自由で思うように動けなくても、重度の知的障害で何もわからないかのように見えても、
心の動きはあるし、いろいろわかっているのです。ほんとうは、あたりまえのことですが。


児童福祉法第63条の3の規定については、「当分の間」とはいつまで続くのか、とあきれられていた面もあったのですが、平成24年4月の改正で、とうとうなくなります。

「重症心身障害児施設」は、児童部分は「障害児入所施設」の中に、成人部分は障害者自立支援法の「療養介護」に移行する形になります。

バレンタインのチョコレートに寄せる想いは、贈る側も、もらう側も、変わらないのかもしれませんが。