パブコメへの助走4・訪問介護

3.訪問系サービス

(1)訪問介護
 身体介護の時間区分について、1日複数回の短時間訪問により中重度の在宅利用者の生活を総合的に支援する観点から、新たに20分未満の時間区分を創設する。

(新規) 20分未満 170単位/回
30分未満 254単位/回 → 20分以上30分未満 254単位/回
※算定要件(身体介護(20分未満))
 以下の[1]又は[2]の場合に算定する。
[1]夜間・深夜・早朝(午後6時から午前8時まで)に行われる身体介護であること。

[2]日中(午前8時から午後6時まで)に行われる場合は、以下のとおり。
<利用対象者>
・要介護3から要介護5までの者であり、障害高齢者の日常生活自立度ランクBからCまでの者であること。
・当該利用者に係るサービス担当者会議(サービス提供責任者が出席するものに限る。)が3月に1回以上開催されており、当該会議において、1週間に5日以上の20分未満の身体介護が必要であると認められた者であること。
<体制要件>
・午後10時から午前6時までを除く時間帯を営業日及び営業時間として定めていること。
・常時、利用者等からの連絡に対応できる体制であること。
・次のいずれかに該当すること。
 ア 定期巡回・随時対応サービスの指定を併せて受け、一体的に事業を実施している。
 イ 定期巡回・随時対応サービスの指定を受けていないが、実施の意思があり、実施に関する計画を策定している。

サービス担当者会議で各サービスの必要性が認められているのは、本加算に限らず当然のこと。
また、開催頻度は個別事例ごとに現場で判断すべきであり、重度要介護者なら、半年間隔の頻度でも状態が変わらない場合も少なくない。
よって、サービス担当者会議の開催頻度等の要件は削除すべき。

定期巡回・随時対応サービスは大都市圏以外では採算が合いにくいと思われ(大都市圏なら必ず採算が合うという意味ではない)、特に中山間地や積雪地等では、事業者の意志に関わらず実施自体が現実的でない地域が多い。
このような都会地のことしか考えていないサービスを要件に位置付けるのは不適当。
一方、中山間地等でも短時間の身体介護が有効な利用者はいるので、たとえば「必要があれば24時間365日営業する体制」であれば、体制要件を満たすものとして扱うのが適当。

 生活援助の時間区分について、サービスの提供実態を踏まえるとともに、限られた人材の効果的活用を図り、より多くの利用者に対し、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から時間区分の見直しを行う。

30分以上60分未満 229単位/回  60分以上 291単位/回
  ↓
20分以上45分未満 190単位/回  45分以上 235単位/回

 また、身体介護に引き続き生活援助を行う場合の時間区分の見直しを行う。

30分以上 83単位/回 → 20分以上 70単位/回
60分以上 166単位/回 → 45分以上 140単位/回
90分以上 249単位/回 → 70分以上 210単位/回

45分で区分する基準は、実態を反映していない(その議論の元となった調査の出来が悪い)。
普及品の洗濯機使用で1時間近く必要であり、その間に他のサービスをこなすのが、よくあるパッケージと思われる。
案作成に関わった事務方も、審議会委員も、複数の家事を平行して行った経験が乏しいのではないか。
また、遠方まで行かないと日常生活必需品が買えない地域もある。
60分区分の基準体系を基本にし、効率化のためには、(障害福祉サービスの居宅介護のように)30分未満の区分を新設すべき。

※もし、どうしても強行するなら、何時間までの生活援助なら事業者が拒否できないか、国が責任持って明記すべき。

[1] 生活機能向上連携加算
 自立支援型のサービスの提供を促進し、利用者の在宅における生活機能向上を図る観点から、訪問リハビリテーション実施時にサービス提供責任者とリハビリテーション専門職が、同時に利用者宅を訪問し、両者の共同による訪問介護計画を作成することについての評価を行う。

 生活機能向上連携加算(新規) → 100単位/月
※算定要件
・サービス提供責任者が、訪問リハビリテーション事業所の理学療法士作業療法士又は言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)による訪問リハビリテーションに同行し、理学療法士等と共同して行ったアセスメント結果に基づき訪問介護計画を作成していること。
・当該理学療法士等と連携して訪問介護計画に基づくサービス提供を行っていること。
・当該計画に基づく初回の訪問介護が行われた日から3ヶ月間、算定できること。

[2] 2級訪問介護員のサービス提供責任者配置減算
 サービス提供責任者の質の向上を図る観点から、サービス提供責任者の任用要件のうち「2級課程の研修を修了した者であって、3年以上介護等の業務に従事した者」をサービス提供責任者として配置している事業所に対する評価を適正化する。

サービス提供責任者配置減算(新規)→所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定
※算定要件
 2級訪問介護員(平成25年4月以降は介護職員初任者研修修了者)のサービス提供責任者を配置していること。
(注)平成25年3月31日までは、
平成24年3月31日時点で現にサービス提供責任者として従事している2級訪問介護員が4月1日以降も継続して従事している場合であって、
・当該サービス提供責任者が、平成25年3月31日までに介護福祉士の資格取得若しくは実務者研修、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員1級課程の修了が確実に見込まれるとして都道府県知事に届け出ている場合に、
本減算は適用しないこととする、経過措置を設けること。

[3] 利用者の住居と同一建物に所在する事業所に対する評価の適正化
 サービス付き高齢者向け住宅等の建物と同一の建物に所在する事業所が、当該住宅等に居住する一定数以上の利用者に対し、サービスを提供する場合の評価を適正化する。

同一建物に対する減算(新規)→ 所定単位数に90/100を乗じた単位数で算定
※算定要件
・利用者が居住する住宅と同一の建物(※)に所在する事業所であって、当該住宅に居住する利用者に対して、前年度の月平均で30人以上にサービス提供を行っていること。
・当該住宅に居住する利用者に行ったサービスに対してのみ減算を行うこと。
(※)養護老人ホーム軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、旧高齢者専用賃貸住宅

(注)介護予防訪問介護、(介護予防)訪問入浴介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、夜間対応型訪問介護及び(介護予防)小規模多機能型居宅介護(前年度の月平均で、登録定員の80%以上にサービスを提供していること。)において同様の減算を創設する。

[4] 特定事業所加算
 社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正によって、介護福祉士及び研修を受けた介護職員等が、登録事業所の事業の一環として、医療関係者との連携等の条件の下にたんの吸引等を実施することが可能となったこと及び介護福祉士の養成課程における実務者研修が創設されることに伴い、特定事業所加算について、要件の見直しを行う。
※算定要件(変更点のみ)
・重度要介護者等対応要件に「たんの吸引等が必要な者(※)」を加えること。
・人材要件に「実務者研修修了者」を加えること。

(※)たんの吸引等
・口腔内の喀痰吸引、鼻腔内の喀痰吸引、気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう又は腸ろうによる経管栄養及び経鼻経管栄養

特定事業所加算は、支給限度額の対象外とすべき(本来的には、利用者負担の対象外とすることも検討すべき(介護職員処遇改善加算と同じ理由))。

その他、緊急時訪問介護加算は支給限度額の対象外とすべき(緊急時訪問看護加算は対象外となる予定)。