震災・雑損控除と災害減免法の特例

 ロ 震災特例法による大震災の被災者に係る税制上の特例措置の適用
  震災特例法による被災者に係る所得税関係の特例措置には、以下のものがあります。
  詳細は、前記I第1の3のとおりです。
  [1] 雑損控除の特例
  [2] 雑損失の繰越控除の特例
  [3] 災害被災者に対する所得税の減免の特例
  [4] 被災事業用資産の損失の必要経費算入に関する特例等
  [5] 純損失の繰越控除の特例
  [6] 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の適用期間に係る特例
  [7] 被災代替資産等の特別償却
  [8] 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例

<参考>

3 大震災の被災者に係る税制上の特例措置

 東日本大震災(以下Iにおいて「大震災」といいます。)の被災者等の負担の軽減を図る等のため、所得税法その他の国税関係法律の特例を定めた「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)」が平成23年4月27日に公布・施行されました(震災特例法1、2)。
(注)「東日本大震災」とは、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいいます(震災特例法2[1])。
 この震災特例法においては、所得税法関係では次の特例が措置されました。

(1)雑損控除の特例
 イ 概要
 住宅や家財などについて大震災により生じた損失の金額について、納税者の選択により、平成22年において生じた損失の金額として、平成22年分の所得税において雑損控除の規定を適用することができることとされました(震災特例法4、所法72)。
(注1)損失の金額には、大震災に関連して支出したやむを得ない支出を含みます。
  また、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる金額は差し引きます。
(注2)この特例により平成22年分の所得税において適用を受けた雑損控除に係る損失の金額は、平成23年分の所得税については、平成23年において生じなかったものとみなされます。

 ロ 手続き
 この特例の適用を受ける場合には、平成22年分の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に、この特例の適用を受ける旨の記載をしなければなりません。また、この法律の施行の日(以下「施行日」といいます。)前に平成22年分の所得税につき確定申告書を提出した方は、施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求をすることができます(震災特例法附則2)。

(2)雑損失の繰越控除の特例
 大震災による雑損失の金額について、繰越控除の期間が5年間(所得税法:3年間)とされました(震災特例法5、所法71)。

(3)災害減免法による所得税の減免の特例

 イ 概要
 住宅又は家財について大震災により甚大な被害を受けた方で、上記(1)の雑損控除の特例の適用を受けない場合には、その方の選択により、その被害を平成22年において受けたものとして、災害減免法の規定による税金の軽減免除の規定を適用することができることとされました(震災特例法49、災免法2)。
(注)この特例により、平成22年分の所得税において災害減免法の適用を受けたときは、平成23 年分の所得税については、平成23年において大震災による被害を受けなかったものとみなされます。

 ロ 手続き
 この特例の適用を受ける場合には、平成22年分の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に、この特例の適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載しなければなりません(震災特例令38)。
 また、施行日前に平成22年分の所得税につき確定申告書を提出した方は、施行日から1年間、この特例の適用を受けるための更正の請求をすることができます(震災特例法附則2)。